縦渦-横渦の相互作用に基づく壁面噴流の動的知能制御の試み

1999 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 11750143
• Research Institution: Yamaguchi University
• Principal Investigator: 望月 信介 山口大学, 工学部, 助教授 (70190957)
• Keywords: 壁面噴流 / 乱流制御 / 縦渦 / 三次元乱流場 / 動的

Research Abstract

本研究は、(1)大スケールの外層における横渦に基づく動的な縦渦導入の壁面噴流の制御に対する有効性、(2)ゆらぎの抑制・増大と縦渦の下流方向への減衰の程度、および流れ方向運動量流束の増減との関係、(3)渦度輸送方程式に基づくその考察が主な目的である。初年度は、アクチュエータである渦発生器の製作およびそれを用いた動的導入による制御効果を実験的に調べた。流れ場としては縦渦による制御の基礎データが豊富にあり、外層の横渦が支配的である速度比U_m/U_e=4の自己保存条件下にあるStronger Wall Jetとした。
アクチュエータの開発:渦発生器にはハーフデルタ翼を壁面上に設置したものを用いる。アクチュエータ製作においては、放出位置を一定とし、準静的の条件を満足できることを考慮して製作した。
壁面噴流に対する動的に導入された縦渦:上記アクチュエータにより、縦渦の強さのみを周波数2Hzで変化させた場合の実験を行った。縦渦を動的に導入した場合、循環の下流への減衰が弱まった。これは主に以下に述べる2つの理由により説明できることがわかった。一つは、スパン方向ゆらぎにより渦のスパン方向寸法が増加し、付加歪みによる変形が弱まったためと解釈された。もう一方は、動的に導入した場合の縦渦の経路は内層に留まるため、外層の大規模渦構造との干渉が弱まることである。これにより、動的導入は縦渦の操縦・制御の持続性を高め、工学的応用価値のあることがわかった。
2年度目の予定:動的に導入した場合の壁面噴流の操縦に対する効果を、運動量流束の増加量などから定量的に示す。縦渦の発達における差異を輸送方程式に立脚して解明する。

Research Products

• [Publications] 望月信介: "スパン方向歪みによる変形を受けた壁面噴流の乱流構造"日本機械学会・1999年度年次大会講演論文集. 4. 101-102 (1999)
• [Publications] 望月信介: "縦渦対による壁面噴流の制御の試み"第31回流体力学講演会講演集. 57-60 (1999)
• [Publications] 望月信介: "縦渦対による壁面噴流の操縦(渦度輸送方程式における生成項の評価)"日本機械学会・流体工学部門講演会・講演論文集. No.99-19. 3-4 (1999)