Research Abstract |
まず,4輪車両を速度可変で追従制御するためのモデルとして,キネマティックモデルおよびダイナミックモデルの両者を検討した.この両モデルが非線形であるので,その目標軌道追従制御に,非線形receding horizon制御と呼ばれる一種の非線形最適状態フィードバック制御を適用し,制御性能をシミュレーションで評価した.その結果,両モデルに対して,十分な精度の最適解を得ることができた.ただし,オーバーステア特性をもつ車両に対しては,条件によっては数値的困難が生じ,シミュレーションが不可能となった.目標ルートの設定には,通常の追従制御のように予め計画することはできないので,時々刻々目標ルートを設定する方法を提案した.車庫入れ,車線変更,コーナーリングの3つの動作をシミュレーションし,いずれも精度よく制御できたので,本手法を用いることで,四輪車両の速度可変での追従制御が可能であるといえる.なお,本研究で採用した制御アルゴリズムは,キネマティックモデルに対して,0.01秒のサンプリング周期で計算が可能であったので,オンラインで十分計算可能であることが分かった. さらに,問題設定の拡張として,2台の車両による微分ゲームの検討も行った.これは,非線形receding horizon制御の評価関数に対し,一方の車両は評価関数を小さくしようとし,他方の車両は評価関数を大きくしようとする,という問題である.評価関数を適切に選ぶことによって,2台の車両の追跡,回避と追い抜きの行動が微分ゲームとして定式化でき,十分精度の良い解が得られることがシミュレーションによって分かった. ハードウェア実験に関しては,より単純な二輪車両を用いて計測・制御の基本技術を蓄積することができた.第2年度では,シミュレーション結果に基づき製作した四輪車両モデルを用いて,実時間制御実験を行う.
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