1999 Fiscal Year Annual Research Report
情報通信ネットワークにおける伝送遅延時間を考慮した非線形系の遠隔制御
Project/Area Number |
11750188
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
小口 俊樹 東京都立大学, 工学研究科, 助手 (50295474)
|
Keywords | 非線形システム / むだ時間システム / 遠隔制御 |
Research Abstract |
本研究は,非同期通信などを用いた時に生ずる不規則に変動する時変むだ時間を持つ非線形システムの制御系設計問題に対して,理論と実験により検討を行なうものであり,より一般的なむだ時間非線形システムに対する制御系設計法の開発と,対象を2駆動1非駆動関節マニピュレータの遠隔制御に特化した制御手法の研究を行うことを目的としている.本年度得られた成果は次の通りである. (1)研究者らは1入力状態むだ時間システムに対する有限極配置法を既に提案しているが,この手法を多変数システムに拡張した.提案手法を適用することにより,無限次元多変数非線形システムは,複数の有限次元1入力線形システムに変換することができる.さらに,提案する手法を適用したシステムに対して,むだ時間推定誤差に対するシステムのロバスト安定性を検討した.その結果,変数変換にむだ時間が関係することにより,むだ時間が公称値から離れるに従い,著しく性能を劣化させることが明らかとなった.また,むだ時間の変動の最大値が予め与えられる場合に対して,その上界値を用いたロバスト設計を検討した. (2)2駆動関節と1非駆動関節からなる多関節マニピュレータを組み込んだ実験装置の製作および制御手法の研究を行なった.この制御対象は二階の非ホロノミックシステムであり,加速度の拘束条件を持っている.このシステムの先端アームの位置決め制御では,原点への漸近安定化のための制御則は既に得られているものの,状態量全てに対して参照軌道を与えて,最終目標値へ収束させることは今までなされていなかった.本研究では,本制御対象が2階の非ホロノミックシステムであるとともに,differentially flatであるという性質を用いることで,一般化座標全ての軌道生成が可能となることを示し,具体的に軌道生成を行なった.その結果,全ての状態に参照軌道を与えていない従来の手法に比べ,過渡応答を考慮した設計が可能になり,制限された動作範囲においても目標値への位置決めが可能となることが示された. 次年度においては,(1)と(2)の手法を組み合わせ,さらに時変むだ時間に対する適応機構の導入を検討し,多関節マニピュレータの遠隔制御について理論と実験による検討を行なう.
|