2000 Fiscal Year Annual Research Report
弾性平板の自励的波動運動を利用した流体中での超高効率推進機構に関する研究
Project/Area Number |
11750190
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
渡辺 昌宏 青山学院大学, 理工学部, 助手 (40256673)
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Keywords | 水中推進機構 / 波動運動 / 流体・構造連成 / 流体力フィードバック / 流体流れ / 渦 / 推進力 / 推進効率 |
Research Abstract |
水棲生物や魚類は進行波的に伝播する波動運動を,その魚体上の頭から尾ひれへ発生させ,高性能かつ高効率の水中移動を行っていると言われている,特に,これらの水中移動メカニズムにおいて,柔軟な尾ひれの進行波的な波動運動は,推力の発生に重要な役割を果たしていると考えられる.このことから,この波動運動による推力発生メカニズムの解明は,高性能の水中推進機構および積み込むエネルギーに厳しい制限がある自立型水中移動ロボットの開発に有益が知見をもたらすと考える.しかしながら,この波動運動による推進特性とひれの柔軟性が推力発生に及ぼす影響は未解明な部分が多い.また,弾性平板が弾性変形して波動運動を行う場合に,発生する推力および推進速度と推進効率は,これまでに十分に明らかにされていない. そこで,本研究は水中で振動的に扇ぎ運動する剛体翼の後縁に,柔軟な魚の尾ひれを模倣した弾性平板を取付けた水中推進機構を製作し,弾性平板の波動運動によって発生する推力,および推進速度と効率を実験的に明らかにした.また,泳動する水中推進機構周りの流体流れの可視化を行い,弾性平板の運動および推進効率と流体流れとの関係を考察した. 研究の結果,以下の事を明らかにした.(1)弾性平板が魚の尾ひれのように弾性変形して波動運動を行う場合には平均推力が増加し,横力変動が小さく抑えられる.(2)弾性平板の進行波的な波動運動を利用すると水中推進機構の推進速度と推進効率は増加する.特に,弾性平板に1波長以上の波の波動運動が発生する場合には,推進効率は高くなる.(3)本研究で調べたパラメータの範囲では,弾性平板に1波長以上の波動運動が発生する場合には,扇ぎ運動の振動数が0.8Hzの場合に水中推進機構の最大推進速度は0.3m/s,最大推進効率は62%と高い効率となる.(4)弾性平板が変形し波動運動を行うと,平板後縁からの渦の発生が抑制され推進効率は高くなる.
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[Publications] M.Watanabe,K.Hayashi,N.Kobayashi and T.Sakai: "Propulsion Characteristics of Travelling Wave Motion of a Flexible Fin in a Channel"Proceedings of the first International Symposium on Aqua Bio-Mechanisms. 207-212 (2000)
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[Publications] 渡辺昌宏,林健一,村松功一,小林信之,坂井高章: "柔軟な魚の尾ひれの運動を模倣した弾性フィンの波動運動による推進特性"日本機械学会,機械力学・計測制御講演論文アブストラクト集. No.00-6. 155 (2000)