1999 Fiscal Year Annual Research Report
高密度記録用ジルコニア分離CoPtグラニュラー薄膜
Project/Area Number |
11750252
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
柿崎 浩一 埼玉大学, 工学部, 助手 (70261881)
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Keywords | グラニュラー / CoPt合金 / 薄膜 / 対向ターゲット / スパッタリング / 磁気記録媒体 / 磁気異方性 / 高密度磁気記録 |
Research Abstract |
高密度記録が可能な磁気記録媒体を実現するためには、媒体の薄層化、磁性極子の微細化、高保磁力化および媒体ノイズの低減が大きな課題とされている。そこで、本申請課題は、磁気記録媒体において媒体ノイズの主たる要因であるとされる磁性粒子間の磁気的相互作用の影響に着目し、磁性粒子が互いに非磁性の母材によって分離された構造を持つグラニュラー磁性薄膜を選択した。今年度はジルコニアを分離母材とするCoPtグラニュラー薄膜の作製条件を確立することを目的とし、成膜時のCoPt合金のCoとPtの組成比、磁性合金と分離母材の体積比率、膜厚、熱処理温度等の作製条件を検討した。 その結果、(Co_<75>Pt_<25>)-(ZrO_2)組成のグラニュラー薄膜を減圧中、500℃で熱処理することで、ZrO_2量35vol%以上の膜において保磁力は急激に増大し、48vol%のときHc=3300 Oeとなった。この値は、他の分離母材を用いた膜に比べて非常に大きな値であった。このようにZrO_2を分離母材として使用したときに非常に大きな保磁力が得られた原因としては、熱エネルギー的に安定なZrO_2を分離母材とすることでCoPt粒子の歪みが増大したこと、CoPt粒子が微細に分割され、粒子径が小さくなったことなどが予想される。そこで、Co_<75>Pt_<25>-ZrO_2(ZrO_2:48 vol%)グラニュラー薄膜の微細構造をTEMにより観察した結果、10nm程度のCoPt磁性粒子がZr-Oの非常に薄いアモルファス層で覆われ、磁性粒子の微細化が実現されているのが観察された。 次に、膜厚の異なるCo_<75>Pt_<25>-ZrO_2(ZrO_2:48 vol%)グラニュラー薄膜を作製し、その磁気特性を調べたところ、保磁力は膜厚30nm〜80nmの範囲では、約3000 Oeで一定であった。しかし膜厚20nmのとき保磁力は最大値3500 Oeとなり、14nmでは2500 Oeまで低下した。一方、磁化値は40nm以下では急激に減少するが、この原因としては、膜の初期成長層における均一性が悪く、熱処理を行っても、CoとPtが合金化しないことがあげられる。
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