2000 Fiscal Year Annual Research Report
連続パスル真空アーク放電を利用したドロップレットフリー電子材料薄膜創製
Project/Area Number |
11750260
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
滝川 浩史 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (90226952)
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Keywords | 真空アーク蒸着法 / 連続パルス電流 / ドロップレットフリー / 放電特性 / 安定運転条件 / TiN膜 |
Research Abstract |
真空アーク蒸着法は,真空アーク陰極点から発生する高エネルギーの金属あるいは非金属イオンを雰囲気ガスと反応させて薄膜を形成する手法である。他の手法と比較して,成膜速度が速い,基板との密着性が良い,装置が安価である,などの利点がある。しかしながら,この手法では陰極材料のドロップレットが生成膜に付着するしてしまう。電子材料薄膜を創製する場合にはこのドロップレットを除去しなければならないという課題がある。ドロップレットの発生を抑制するためには,陰極点を定期的に冷却すればよい。そこで,本研究では陰極点を定期的に減衰させるため,従来直流電流を利用していた放電電流に連続パルス電流を用いた手法を検討する。 初年度には,TiN膜を生成する条件においてパルス電流,ベース電流,デューティ比,圧力をパラメータとして,アーク放電が安定して長時間持続可能な運転条件明らかにした。本年度はこの条件と通常の手法とでTiN膜を生成し,生成膜の様相を光学顕微鏡で観察するとともに,膜上のドロップレットの数を比較した。さらに,TiO_2,AlN,及びAl_2O_3膜についても同様にしてドロップレット削減効果を評価した。なお,パルス周波数は電源の最大周波数である500Hzとした。その結果,以下のことがわかった。 1.融点が高い(1,660℃)のドロップレットは固体上であるのに対し,融点が低い(660℃)のドロップレットは液体状である。 2.どの生成膜の場合にも,直径1μm以下の比較的小さなサイズのドロップレットについては,パルスアークを用いてもほとんど削減されない。 3.パルスアークを用いた場合,直径1μm以上のドロップレットについては,40〜50%を削減できることがわかった。 ドロップレットをさらに削減するためには,パルス周波数をより高くする必要があると考える。
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[Publications] H.Takikawa: "ZnO film fabrication by reactive shielded vacuum arc deposition"Transactions of the Material Research Society of Japan. 25・1. 345-348 (2000)
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[Publications] R.Miyano: "Ion energy measurement in shielded vacuum arc with graphite cathode"電気学会論文誌. 120-A・6. 724-725 (2000)
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[Publications] R.Miyano: "Preparation of metal nitride and oxide thin films using shielded reactive vacuum arc disposition"Vacuum. 59. 159-167 (2000)
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[Publications] H.Takikawa: "ZnO film formation using steered and shielded reactive vacuum arc deposition"Thin Solid Films. 377/378. 74-80 (2000)
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[Publications] 池田光邦: "真空アークプラズマの磁気輸送とドロップレット削減効果"プラズマ応用科学. (掲載決定).
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[Publications] H.Takikawa: "Effect of substrate bias on AlN thin film preparation in shielded reactive vacuum arc deposition"Thin Solid Films. 386. 276-280 (2001)