2000 Fiscal Year Annual Research Report
塗布熱分解法によるCuInSe_2薄膜の作製及びその大面積化と太陽電池への応用
Project/Area Number |
11750267
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
安藤 静敏 東京理科大学, 工学部, 講師 (20251712)
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Keywords | カルコパイライト型化合物 / CuInSe_2 / 薄膜太陽電池 / 塗布熱分解法 |
Research Abstract |
現在、次世代のクリーンなエネルギー源として太陽光発電が注目され、その材料開発の研究は極めて活発である。CuInSe_2(CIS)はカルコパイライト型化合物の一つであり、Siに比べ非常に大きな吸収係数を有していることから高効率太陽電池材料として期待され、様々な成膜法によりその薄膜化技術の研究が急加速的に行われている。 本研究では、有機金属塩を原料に用いた塗布分解法によってCISの薄膜化および大面積化技術を確立し、良質な薄膜を得ることを目的とする。 原料は、ナフテン酸Cuとナフテン酸Inを用い、基板としては石英基板およびコーニング7059ガラスを用いた。まず最初に、本成膜法でCIS薄膜を得るために、セレン化温度およびセレン化時間は3時間、600℃が最適であることがわかり、単相CIS薄膜を得ることができた。次に、化学量論組成のCIS薄膜を得るために、原料の秤量時でのCu/Inの仕込み値とそれらの塗布溶液を用いて作製したCIS薄膜のCu/Inを検討した。その結果、仕込み値がCu/In=0.8の塗布溶液を用いた場合、単相で、且つ、化学量論組成のCIS薄膜を得ることができた。CIS薄膜を吸収層に用いるためには1.5〜2.0μmの膜厚が必要である。よって、本作製法で1μm以上のCIS薄膜を得るために、重ね塗りによるCIS薄膜の作製を行った。その結果、塗布回数を繰り返してもCIS薄膜の構造に変化は無くカルコパイライト構造を有することが分かった。また、12回の塗布回数で約1.5μmのCIS薄膜が得られ、光吸収層として十分な膜厚を得た。更に、Cu(In_<1-x>Ga_x)Se_2系(CIGS)の単相薄膜の作製に成功し、高効率化も期待できる。大面積化においては、現在1インチ角の基板上でのCIS薄膜の作製に成功した。
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