1999 Fiscal Year Annual Research Report
電気化学反応を利用した元素ドーピングによるビスマス系超電導体の特性改善
Project/Area Number |
11750273
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Research Institution | Toyota National College of Technology |
Principal Investigator |
塚本 武彦 豊田工業高等専門学校, 電気・電子システム工学科, 助教授 (10217284)
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Keywords | 電気化学法 / 元素ドーピング / ビスマス系超電導体 / 冷間等方静水圧プレス / 電抵抗温度 / 特性改善 |
Research Abstract |
クーロンメータ付きのポテンショスタット(北斗電工・HABF-501)を中心とした電気化学実験システムを構築した。予備実験を行った結果、ビスマス2212超電導体にリチウム元素をドーピングするために適した電解液は、過塩素酸リチウムを炭酸プロピレンに溶かしたものであることがわかった。また、試料の電位を参照(飽和カロメル)電極に対して、-1[V]前後にすると良いこともわかった。この方法により、焼結試料1[g]に対して16[C]以上のリチウムイオンをドーピングすることができた。 次に電気化学用の良質なビスマス2212標準試料をCIP(冷間等方静水圧プレス)によって作製した。0.4GPaという高圧のCIPを用いることで、均質で稠密に加圧成形することができた。ClP試料の密度は通常の1軸プレスだけの試料にくらべて、最大50%高くなった。その結果、試料中の空孔の割合が少なくなって超電導電流が試料全体を流れることができるようになり、液体窒素温度以上の温度領域で零抵抗を実現できた。 過塩素酸リチウムを炭酸プロピレンに溶かした電解液中での電気化学反応によって、焼結試料に6-10[C]のリチウムイオンをドーピングしたものは、ドーピング前の試料に比べて零抵抗を示す温度が数K高くなった。これにより、一度特性を測定した後のバルク試料を粉砕・再プレスすることなしに再利用し、各種元素のドーピング効果を調べることのできる可能性を見出した。 今後は、ビスマス系バルク超電導体に対して良い添加効果があると言われている銀、鉛などの元素を電気化学法によってドーピングするための条件(電解液の種類、電位等〕を確定する。最後に、電気化学法とClPをうまく組み合わせることによって、ビスマス系超電導体試料の結晶粒および粒界に対する特性改善を図る。
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