1999 Fiscal Year Annual Research Report
2光子励起表面プラズモン共鳴顕微鏡の開発と分子蛍光の高感度検出への応用
Project/Area Number |
11750290
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 拓男 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (40283733)
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Keywords | 表面プラズモン / レーザー走査顕微鏡 / 蛍光 |
Research Abstract |
表面プラズモンを励起する光学系を組み込んだレーザー走査顕微鏡システムを試作し,その面内分解能の測定を試みた.まず厚さ170μmのカバーガラスに膜厚55nmの銀薄膜を真空蒸着した.コリメートしたHe-Neレーザ光を開口数1.3の油浸対物レンズに入射させ,この銀薄膜にカバーガラス側からレーザー光を集光した.用いた対物レンズの開口数は1.3なので,ガラスの屈折率を考慮するとレーザー光の入射角は59.1°であり,プラズモンの励起角42.9°を充分カバーしている.入射されたレーザー光は,銀薄膜によってそのほとんどが反射されるが,プラズモンの励起角に対応した光のエネルギーはプラズモンに吸収され,結果として反射光が減少する.従って,対物レンズの瞳面を観察すると,プラズモンの励起角に対応した部分のみ,黒いリングが現れる.この光学系の場合プラズモンの励起角は,銀薄膜が接している媒質の屈折率に依存するため,この媒質の屈折率が変わると,黒いリングの半径が変化する.従って,このリングの半径を計測することにより,媒質の屈折率分布をマイクロメートルオーダでかつ高感度に計測できる.実験では,ステップ状のガラス板や直径5μmのポリスチレン微粒子を銀薄膜に密着させて試料とし,試作した表面プラズモン顕微鏡の分解能を測定した.その結果,用いた対物レンズの理論的分解能とほぼ等しい分解能を実現可能であることを確認し,これまで薄膜などの2次元試料の測定にしか用いられなかった表面プラズモン検出法が顕微領域の計測にも利用できることを実証できた.さらに,センサーのS/N比と面内分解能の向上を測るため,アキシコンプリズムを用いてリング状の光を生成する光学系の試作も行った.現在試作したシステムの特性を評価中である.
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