2000 Fiscal Year Annual Research Report
2光子励起表面プラズモン共鳴顕微鏡の開発と分子蛍光の高感度検出への応用
Project/Area Number |
11750290
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 拓男 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (40283733)
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Keywords | 表面プラズモン / レーザー走査顕微鏡 / 蛍光 |
Research Abstract |
試作したシステムでは,膜厚55nmの銀薄膜の表面に,開口数1.3の油浸対物レンズを用いてHe-Neレーザー光を集光し,局所的に表面プラズモンを励起する.表面プラズモンが励起されると,銀薄膜での反射光のうち,プラズモンの励起角に対応した部分の反射光が減少し,対物レンズの瞳面に黒いリングが現れる.試作した顕微鏡では,このリングの径を計測することにより,レーザー集光点での試料の屈折率もしくは膜厚を測定することが可能になる.しかし,リングのどの部分の光強度を測定するかによって,得られる像の分解能や検出感度が変化することが昨年度の研究の結果わかっていた.そこで,本年度はこの測定位置と顕微鏡の像特性との関係を調べた.試料として,膜厚55nmの銀薄膜の上に,厚さ400nmのフォトレジストをスピンコーティングし,このレジストに10μm間隔のストライプパターンをパターニングした.そして,このストライプパターンを試作した表面プラズモン顕微鏡で観察し,その特性を調べた.その結果,ストライプと平行な方向で暗リングの変化を観察すると,約1μmの面内分解能が得られたが,垂直な方向で暗リングの変化を測定すると,約5〜8μm程度の分解能しか得られなかった.これは,表面プラズモンの伝搬長が約10μm程度と長いためプラズモンの伝搬方向にはその分解能が低下するという,従来の表面プラズモン顕微鏡と同じ特性によるものと結論できる.しかし今回試作したシステムでは,瞳面上にはあらゆる方向の情報が同時に存在するため,複数の光検出器で,同時にその暗リングの変化を測定し,後ほどコンピュータを用いて再処理することで,表面プラズモンの伝搬長に影響されず,高分解能な計測ができることを確認・実証できた.またアキシコンを用いた光学系の特性についても評価した.
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[Publications] T.Tanaka and S.Yamamoto: "Optically induced propulsion of small particles in an evanescent field of higher propagation mode in a multimode, channeled waveguide"Applied Physics Letters. 77・20. 3131-3133 (2000)
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[Publications] T.Tanaka and s.Yamamoto: "Comparison of aberration between axicon and lens"Optics Communications. 184. 113-118 (2000)