2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11750345
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Research Institution | Kagoshima National College of Technology |
Principal Investigator |
黒木 祥光 鹿児島工業高等専門学校, 電気工学科, 助教授 (60290847)
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Keywords | 画像符号化 / STM画像 / JPEG / 予測符号化 / DCT |
Research Abstract |
近年,ディジタル画像は計測機器等の発展により,様々な計測データの解析に用いられつつある.本研究では,計測データの一種である半導体表面のSTM(Scanning Tunneling Microscopy)画像の符号化に関する検討を行う.静止画像符号化の国際標準JPEG(Joint Photographic experts Group)は自然画像を対象とし,画素値は緩やかに変化すると仮定している.しかし,STM画像は通常の画像と統計的性質が異なるため,JPEGでは圧縮効率の低下が予測される.昨年度,JPEGの非可逆モードに使用されているDCT(Discrete Cosine Transform)係数の分布を近似する関数として,STM画像の場合,正規分布が適切との結果を得た.しかし,一般の画像に用いられるラプラス分布との差は僅かであるため,DCT係数の分布はラプラス分布で近似されるとの仮定の下,JPEG非可逆モードにおける統計モデルの再構築を行った.提案したモデルはJPEGに比べ状態数が2/3程度にも関わらず,JPEGと同等以上の符号化効率を得ることが出来た.続いて,予測符号化における予測器の選定に関する検討を行った.JPEGの可逆モードでは,符号化すべき画素に隣接する3つの画素を用いた線形予測を行っている.最新の可逆符号化の国際標準JPEG-LSにおいても,予測関数を動的に変化する点が異なるものの,JPEGと同様の画素を用いた,より単純な線形予測を採用している.ここで使用される予測器は処理の簡素化を考慮し,加減算とシフト演算のみで実行可能なものである.報告者はこれら予測器の最適性に疑問を感じ,予測自乗誤差を最小化する観点から理論的考察の結果,JPEGと異なる予測器を提案した.提案した予測器をブロック適応予測に使用した場合,JPEG以上に自乗誤差を低減することが出来た.なお,提案した統計モデルおよび予測係数の優位性はSTM画像のみでなく,任意の画像においても見られた.
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[Publications] 黒木祥光,上繁義史: "予測符号化における予測係数の量子化"電子情報通信学会技術報告書. 100巻・18号. 73-79 (2000)
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[Publications] Yoshimitsu Kuroki,Yoshifumi Ueshige,Teiji Ohta: "Redesigning of JPEG statistical model in the lossy mode fitting distribution of DCT coefficients"1999 IEEE International Conference on Image Processing. WP09.02 (2000)
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[Publications] 黒木祥光,上繁義史,太田諦二: "予測符号化における予測関数の選定"画像符号化シンポジウム第15回シンポジウム資料. 117-118 (2000)
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[Publications] 黒木祥光,上繁義史,太田諦二: "乗算を伴わない予測関数における予測効率の評価"電子情報通信学会技術報告書. 100巻・462号. 55-61 (2000)