Research Abstract |
[1]従来は,入力の周期信号の周波数近辺の周波数成分を含む白色ノイズを用いて確率共振現象を観測していたが,本研究では信号近辺の周波数成分を持たないノイズでも確率共振現象が起きるかどうかをコンピュータシミュレーションにより検討した.白色ノイズを様々なカットオフ周波数の高域フィルタに通し,帯域制限されたノイズを作り,これを用いたところ,周期信号近辺の周波数成分をノイズが有していなくとも確率共振現象が起こり,信号周波数よりも十分高い周波数成分のみを有するノイズを用いたときに,S/N比が最も大きくなるという結果が得られた。(帯域制限をしたノイズを用いた確率共振現象に関する研究,田子博和,山田光宏,安久正紘,第7回電気学会東京支部茨城支所研究発表会講演予稿集(1999)) [2]従来の研究においては,正弦波が確率共振現象における検出対象の周期信号として用いられていた。本研究においては,無線通信への応用を念頭に置き,その入力として,周期が一定でない,周波数が変調された信号に対する確率共振現象に関して電子回路による試作,実験を行った。その結果,周期一定の正弦波を入力信号に用いた際の確率共振現象と同様に,白色ノイズの実効値の大きさにより,出力のS/N比が変化し,S/N比が最大になるような,最適な白色ノイズの実効値があることが確認された。(周波数変調された信号に対する確率共振現象,山田光宏,正司園章,田子博和,安久正紘,電子情報通信学会総合大会講演論文集(2000年3月発表予定)) [3]確率共振現象に用いるノイズの実効値を最適に自動設定する回路に関してコンピュータシミュレーション,電子回路の試作実験により検討した結果,確率共振現象に用いる非線形回路の出力のスペクトルがローレンツ形となり,また,そのカットオフ周波数がノイズの実効値により異なるため,非線形回路出力の周波数特性がノイズ実効値の制御に有益な情報であることを見出した。今後,周波数特性を利用した自動設定回路の回路構成を研究していく。
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