2000 Fiscal Year Annual Research Report
データドリブンモデリングに基づく楽音合成法の研究-尺八シンセサイザの研究-
Project/Area Number |
11750372
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
片寄 晴弘 和歌山大学, システム工学部, 助教授 (70294303)
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Keywords | 楽音合成 / 尺八 / STRAIGHT / ジェスチャセンサ |
Research Abstract |
本研究は,次世代の楽音合成方式として有望視されるデータドリブンモデリング方式を,微妙な演奏ニュアンスを持つ代表的なコニテニュアスサウンド楽器として最近のコンピュータミュージックの分野では世界的に注目されている尺八を題材に実現することを目的として開始された. 具体的なプランは,Vocoder的な発想を持って開発された高品質音声分析変換合成法STRAIGHTを用いて,尺八音を解析してそのパラメトリック表現を得た上で,尺八本体に装着した加速度センサ,指穴センサからの信号,ならびに近接マイクによって取得されたピッチや音量をコトローラとして用いて,合成音の生成を行うというもである. 今回,このタスクを実現するものとして,1)尺八音の解析とGUIよる楽音合成(非リアルタイム処理),2)尺八奏法データのセンシングおよびデジタルデータとしての計算機への入力,3)確率統計的な手法に基づくジェスチャからメディア制御パラメータへの変換処理のMatlab上での実装,を実施した. 当初は,研究期間内で,リアルタイムで動作する尺八シンセサイザの実現を目指したが,残念ながら,その目標は達成することは出来なかった.STRAIGHTは高品位の音声・音響の合成をその特徴とする一方で,中間データが元の音響データの数倍になってしまうように,非常に計算量コストの高い処理系である.センシングデータを制御信号に変換しつつ,リアルタイムで,楽音合成を行うためには,マシンのスペックが,現在,使用しているものを基準としてほぼ倍になること,Matlabで書かれたソースコードをC言語等を用いて最適化することが求められた. 現段階では,リアルタイムに楽音合成を行う計算機環境がほぼ整いつつある.今後は,今までに蓄積てきた成果を活かしつつ,引き続き,尺八シンセサイザの実現に向けて研究を続行する予定である.
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