1999 Fiscal Year Annual Research Report
超高周波音波による接着薄層の非破壊評価に関する研究
Project/Area Number |
11750380
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
松川 真美 同志社大学, 工学部, 専任講師 (60288602)
|
Keywords | ブリュアン光散乱 / 接着層 / 粘弾性計測 / 超音波伝搬速度 |
Research Abstract |
ブリュアン光散乱法を用いた接着樹脂層の計測について、本年度は以下のような研究成果を得た。 (1)接着サンプルからの散乱光から分光器へ至る光学系の改良を行った。特にレーザ光の周波数安定化と線幅の改良、及び90A散乱配置による散乱光測定の高精度化を検討した。その結果、2μm厚の薄膜中の超音波音速が測定可能となった。また、90A散乱配置を用いることにより、縦波・横波音速の同時測定が可能となり、硬化した樹脂層では横波音速の測定精度も2%程度と十分有用であることがわかった。 (2)散乱光を長時間安定に計測するため、光学系の設置条件を実験的に検討した。とくに分光器の周囲温度・湿度の適正温度範囲を見出し、3時間程度の長時間測定を可能とした。長時間測定により、微弱なブリユアン散乱光の検出が可能となり、横波ブリユアン成分の線幅の議論ができる可能性を見出した。 (3)実際に汎用のエポキシ接着剤を用い、約100μmのエポキシ樹脂接着層における硬化過程のリアルタイム計測を行った。GHz域における縦波・横波音速の時間変化を観測し、硬化に伴って音速(弾性)が急激に増加することを確認した。また、この急激な増加の間に、縦波音波の伝搬減衰が単調に減少することを見出した。この結果は、すでに報告されているMHz域のバルク状樹脂の硬化過程と異なる。硬化過程で観測される樹脂中の緩和現象の周波数分散を検討した結果、このGHz域の減衰の減少はMHz域の結果と矛盾しないことがわかった。なお、硬化条件を様々に変えると、音速・減衰の時間変化も異なって観測された。しかし、樹脂層のガラス転移温度(Tg)と硬化温度で整理すると、音速・減衰の値は硬化条件によらず同じ値を示すことが見出された。
|
-
[Publications] MAMI MATSUKAWA: "Brillouin scattering study of epoxy adhesive layers during cure"Ultrasonics. (now printing).
-
[Publications] Mami MATSUKAWA: "A simple nondestructive evaluation of an adhesive layer using elastic wave velocities"Japanese Journal of Applied Physics. (now printing).