1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11750392
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古谷 栄光 京都大学, 大学院・工学研究科, 講師 (40219118)
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Keywords | 血糖値制御 / 術後糖尿病 / インスリン / グルコース / モデル予測制御 / 状態予測制御法 |
Research Abstract |
本研究では,周術期,すなわち手術中および手術後に高齢者や糖尿病患者の血糖値の上昇による合併症を回避するために,血糖値を低いレベルで維持するための血糖値制御システムを開発することを目的として,(a)手術後の患者のインスリンに対する感受性の変化の調査,(b)手術中,手術後の血糖値の調整法の検討を行った.具体的には,(a)に関しては,手術後の患者のインスリンに対する感受性の変化を文献および医師の経験に基づいて調査した.(b)に関しては,インスリンの感受性が変化する場合に現在までに開発したシステムがどの程度対応可能かを,グルコースの注入を行いながら血糖値を維持する実験を行うことにより確認した.また,この場合に適した適応型の制御法に関して文献による調査を行った.その結果,次のようなことがわかった. ・手術後の患者は,貯蓄されていたグルコースを血中に放出する異化作用がおこる状態になり,とくに高齢者や糖尿病患者では血糖値が大きく上昇する.その後回復期に入って異化期が終わると,今度はグルコースを血中から取り込み蓄える状態となる.異化期にはインスリンに対する感受性が悪いが,回復期に入るとインスリンに対する感受性がよくなり,急激に血糖値が低下する可能性がある.したがって,低血糖状態を回避するためには,回復期に入ったことを認識して,インスリンの注入速度を適切に調整することが必要となる. ・従来開発した基本的なシステムをグルコースの注入を行った場合に適用した結果,グルコースの注入速度が小さい場合にはおおむね適切な制御が行えるが,グルコースの注入速度が大きい場合には,適切な制御が行えない場合が多かった.したがって,適応型の制御則を構成する必要がある. ・適応型の制御方法としては,従来開発した基本的なシステムで利用しているモデル予測制御法にモデルの同定機能を組み込む方法,あるいは単純適応制御法のような構造の簡単な制御法があると考えられる.
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