2000 Fiscal Year Annual Research Report
建設的コントロールリアプノフ設計と状態依存スケーリングロバスト非線形制御の融合
Project/Area Number |
11750399
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 博 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (70274561)
|
Keywords | 非線形制御 / ロバスト制御理論 / H無限大制御 |
Research Abstract |
本課題の最終年である本年度は、状態依存スケーリングと建設的リアプノフ設計の融合に関し前年度に見い出した基礎的成果を土台にして、これを継承かつ発展させて、統一的な非線形制御システムの「設計」理論をまとめ上げることに取り組んだ。状態依存スケーリングという独創的な手法を導入することて、従来のL2ゲインのような線形ゲイン指標に基づく設計理論の限界を越え、革新的非線形ゲインを設計理論に導入することに成功し、非線形システムの設計における「本質的非線形性の補償」に状態依存スケーリングが有効かつ大きな役割を演じることを示すことに成功した。「グローバルに本質を持つ非線形の補償」に加え、本年度は新しく「ローカルに本質を持つ非線形の補償」と「ダイナミクスに本質を持つ非線形不確定性の補償」も状態依存スケーリングとして統一的に取り込む方法を発見し、これも建設的リアプノフ設計に融合させることができた。計算機を用いた数値計算に関する研究に関しては、ソフトウェアMatlab上に上述の理論を実現する新しいモジュールを構築した。そこでは、関数空間上のmin-max問題を、次元数を工夫して減らしながら実数空間上の(準)凸問題に帰着させている。多くの数値計算実験を行ない、ある程度効率的に状態依存スケーリングが数値的に求められること、それに基づけばリアプノフ関数(バリュー関数)および非線形制御器まですべてを数値的に設計できること、を確認した。その有効性を数値シミュレーションにより検証した。従来のバックステッピング法に代表されるようなポピュラーな建設的リアプノフ設計法は数式計算に基づくもので、効果的な数値計算はできなかったが、本研究成果が数値計算を可能にしながら本質的に非線性を補償することに成功したことは、いままでにない画期的な大進歩である。同時に、数値計算を重視した方法としてよく利用される線形的手法(ローカルアプローチ)からも完全に脱皮し、その非力性を根本的に克服した。これらの研究速報は国内外の学会講演会・研究集会で発表し、まとめた成果を雑誌論文として投稿した。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Hiroshi Ito,Miroslay Krstic: "Recmosire scaling design for robust global nonlinear stabilization via output feed back"International Journal of Robust and Nonlinear Control. 10. 821-848 (2000)
-
[Publications] Hiroshi Ito,Randy A,Frecman: "Stare-dependent scaling design for a unified approach to robust backstepping"Automntica. (2001)