1999 Fiscal Year Annual Research Report
橋脚の保有耐力を考慮した杭基礎の設計水平震度算定に関する確率論的考察
Project/Area Number |
11750419
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
秋山 充良 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00302191)
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Keywords | 構造系信頼性理論 / RC橋脚 / 場所打ち杭 / 耐震設計 / 設計水平震度 / 耐力階層化 |
Research Abstract |
本研究では、主に杭基礎-地盤間ばねの不確定性を考慮した上で、場所打ち杭基礎を降伏状態に到達させないための杭基礎の設計水平震度を動作解析と信頼性理論に基づき検討した。本研究により得られた主な研究実績を以下に示す。 (1)RC橋脚の保有水平耐力に相当する慣性力を用いて静的な荷重漸増法で耐震設計された場所打ち杭基礎では、動的解析を行うと杭基礎が降伏する場合があることが確認された。 (2)統計シュミレーションを実施することにより、杭基礎-地盤間ばねの不確定性が各応答値に与える影響を定量的に評価した。その結果、杭基礎-地盤間ばねの各抵抗特性が対数正規確率変数である時、橋脚や杭体の各応答値も、対数正規分布に従う確率変数であり、その平均値は、全ての杭基礎-地盤間ばねに平均値を用いた値と概ね一致することを確認した。 (3)杭の軸方向力および橋脚の応答値は、杭基礎-地盤間ばねの推定精度の影響を大きく受けないが、抗体の曲率塑性率としての応答値は、変動係数0.5程度の大きなばらつきを持つことになる。 (4)杭基礎を静的な荷重漸増法で耐震設計する場合、橋梁システムの破壊モードを橋脚基部の靭性的なモードに限定するのであれば、杭基礎の設計水平震度として、RC橋脚の保有水平耐力に相当する震度の1.5倍程度を考慮する必要がある。この時には、杭基礎の降伏に関わる限界状態が生起する可能性は無視され、RC橋脚の限界状態のみが生起する可能性により橋梁システムの安全性が支配される。 (5)RC橋脚の保有水平耐力に担当する震度程度で杭基礎を耐震設計した場合には、杭基礎の地震時安全性は、RC橋脚のそれよりも小さい。さらにこの場合には、RC橋脚がある所定の安全性を保有していても、橋梁システムとしては、その安全性を満足することができないことを確率値として示した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 松中亮治,鈴木基行,秋山充良,土井充: "構造系信頼性評価法の提案およびRC橋脚の耐震設計への適用に関する研究"コンクリート構造系の安全性評価研究委員会報告書・論文集. 375-384 (1999)
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[Publications] 土井充,鈴木基行,秋山充良,松中亮治: "RC橋脚の保有耐力を考慮した場所打ち杭基礎の設計水平震度に関する確率論的考察"コンクリート構造系の安全性評価研究委員会報告書・論文集. 429-438 (1999)
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[Publications] 土井充,秋山充良,鈴木基行,松中亮治: "場所打ち杭基礎の設計水平震度算定法に関する確率論的考察"第54回年次学術講演会講演概要集. 第V部内. 548-549 (1999)
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[Publications] 松中亮治,秋山充良,鈴木基行,土井充: "RC橋脚-場所打ち杭基礎間の信頼性設計法に関する基礎的研究"第54回年次学術講演会講演概要集. 第V部門. 550-551 (1999)
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[Publications] Mitsuyoshi Akiyama,Motoyuki Suzuki: "Safety Evaluation Method of Structural Systems and Its Application to Seismic Design of RC. Bridge Piers"IZWCEE. (CD-ROMに収録). (2000)
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[Publications] 秋山充良,松中亮治,土井充,鈴木基行: "鉄筋コンクリート橋梁システムに介在する不確定要因を考慮した場所打ち杭基礎の設計水平震度評価に関する**"土木学会論文集. No.641/V-46. 187-203 (2000)