1999 Fiscal Year Annual Research Report
鋼構造物における地震時脆性破壊の発生メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
11750422
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐々木 栄一 東京工業大学, 工学部, 寄附講座教員 (40311659)
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Keywords | 地震 / 脆性破壊 / 歪み履歴 / 破壊靭性 / 鋼製橋脚 |
Research Abstract |
本年度はまず、非線形動的有限要素解析により、地震時の鋼製橋脚の崩壊性状を把握するとともに、橋脚各部での発生歪み量・履歴を明らかにした。解析対象は、実橋サイズとし、円形単柱、矩形単柱、門型ラーメン橋脚の3タイプとした。各解析モデルは、より詳細にスティフナー等のモデル化を行うためシェル要素を用いてモデル化した。さらに、局部座屈・歪み集中が著しい領域については、その領域を切り出しより詳細なシェル要素あるいはソリッド要素によりサブモデル化し、歪みの量を把握した。現在、各橋脚モデルに対して静的な正負交番繰り返し載荷を解析的に行い、設計において今後重要な評価レベルとされている、最大耐力時および95%最大耐力時の歪みを把握し、地震時に発生しうる歪み履歴との関係を明らかにしようと試みている。 一方、本研究ではまた、繰り返し塑性歪み履歴による鋼材の脆化について、実験的に検討を進めている。本年度は、これまでの単調引張・単調圧縮歪みに関する成果を論文としてまとめ、さらに繰り返し塑性歪みに関する検討を行うため、繰り返し塑性歪み導入のために、全塑性モーメントを発揮することが可能な「コンパクト断面」を有するI型の桁試験体を用意した。現在これらに対して4点曲げ載荷試験により上下両フランジに塑性歪みの導入を試みている。これまでに4体の試験が終了したが、各試験体とも1回繰り返し後の変形が大きく、2回目の繰り返しを行うのが困難となる状況となっており、試験の改善と、桁試験と平行して軸歪みによる塑性歪みの導入を検討している。試験が終了した試験体については、CTOD試験片、シャルビー試験片、丸棒引張試験片の採取を行い、現在および来年度にかけてこれらの試験を行うこととしている。
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