2000 Fiscal Year Annual Research Report
波浪場にある構造物-地盤系の破壊形態に及ぼす諸要因の影響
Project/Area Number |
11750433
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
川村 志麻 室蘭工業大学, 工学部, 助手 (90258707)
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Keywords | 繰返し荷重 / 静的荷重 / 支持力 / 変形 / 模型試験 / 破壊モード / 堆積構造異方性 / 砂 |
Research Abstract |
波浪場にある構造物-地盤系の破壊のメカニズムとその形態に及ぼす諸要因の影響を調べるために,試作した高変動圧載荷装置及び土槽傾斜装置を用いて一連の模型実験を行った.外力の作用条件の違いによる影響や破壊の評価法及び堆積構造異方性が支持力-側方変形挙動に与える影響について調べた.得られた結果は,以下のようである. 1)波浪場にある構造物-地盤系において想定される破壊モードを,試作した高変動圧載荷装置を用いて再現し,支持力・変形特性を明らかにした.波浪場にある構造物-地盤系では,その破壊は外力の大きさ,作用方向によって変化することが示された.特に,沈下破壊モードの場合,波浪のような繰返し荷重条件と徐々に沈下が進行するような静的荷重条件では,地盤内に生じる変形挙動は基本的に差が現れないことが明らかにされた.すなわち,荷重条件によらず,地盤破壊は構造物の沈下形態に強く影響を受けることが示された. 2)地盤条件の違いによる影響を調べるために,砂地盤の堆積状態を水平方向だけではなく,任意の堆積角に設定し,模型実験を行った.堆積構造異方性の影響は,力の作用方向と地盤の堆積角とのなす角によって一義的に評価可能である.また側方流動挙動は,載荷条件の影響よりは不同沈下量に敏感に反応することが明らかにされた. 3)波浪場のように複雑に破壊モードが変化する環境下では,破壊基準の評価が重要になるが,それらの破壊はモーメント,鉛直力,水平力を用いた破壊包絡線を用いることによって一義的に評価できることが明らかにされた.波浪場にあるような構造物-地盤系の安定性を評価する上で,この破壊基準は有用である. 4)破壊モード及び寸法効果の影響を受けない土量比パラメータを見い出した.このパラメータは,地盤条件,例えば,堆積構造異方性の影響も考慮できる変形パラメータとして工学的に有用であることが明らかにされた.また,このパラメータを用いた構造物の沈下量-水平移動量推定式は,地盤内に測方変形が生じるような場合では,実測値を良く表現できることが明らかにされた. このように,波浪場にある構造物-地盤系で想定される載荷条件や地盤条件下で行われた実験結果から,本研究では破壊形態に及ぼす諸要因の影響を解明するための基礎資料が収集されている.
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[Publications] 川村志麻 ら: "静的・繰返し荷重場にある構造物-地盤系の変形挙動"地盤工学研究発表会講演集. 35. 887-888 (2000)
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[Publications] 川村志麻 ら: "静的及び繰返し荷重場にある構造物支持地盤の支持力特性とその評価"土木学会年次学術講演会講演概要集第III部. 55. 424-425 (2000)
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[Publications] 横浜勝司 ら: "波浪力のような繰返し荷重場にある構造物-地盤系の安定性評価に関する実験"海岸工学論文集. 47. 936-940 (2000)
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[Publications] 川村志麻 ら: "構造物-地盤系の支持力特性に及ぼす堆積構造異方性の影響"地盤工学会北海道支部技術報告集. 41. 243-252 (2001)
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[Publications] 宮浦征宏 ら: "載荷条件の相違による砂地盤の支持力変形挙動の変化とその評価"土木学会論文集. III-54. 121-131 (2001)