2000 Fiscal Year Annual Research Report
砕波-気泡系を考慮した大気-海洋境界混合過程に関する計算手法の開発とその応用
Project/Area Number |
11750450
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
二瓶 泰雄 東京理科大学, 理工学部, 講師 (60262268)
|
Keywords | 砕波 / 気泡 / GAL-LESモデル / 大気-海洋境界混合過程 / 数値シミュレーション / 三次元乱流構造 / 移動境界流れ解析法 / 混相乱流モデル |
Research Abstract |
強風下の風波などといった砕波-気泡系を含む大気-海洋境界混合過程は,気泡粒子が水中に混入されることから,このような流れ場を解析するには移動境界を含む複雑混相乱流場としての取り扱いが必要不可欠となるが,このような視点に基づく計算法はこれまで存在しない.一方,研究代表者は昨年,高精度・高安定性を有するGALモデルをベースとした移動境界流れ解析法を構築し,その基本的な有効性を検証したが,より本格的な砕波シミュレーションを行うためには,気泡粒子効果を計算上に組み込むことが必要となる. そこで今年度では,前年度開発したGALモデルをベースとした移動境界流れ解析法に,新しい分散性混相乱流モデルであるGAL-LESモデルをカップリングした移動境界追跡型混相乱流計算手法を構築した.この新しい計算法に基づいて,分散相気泡粒子効果を考慮した3次元砕波シミュレーションを行うことを試みた.その結果,砕波時における一連の水面変動の時空間発達プロセスや,砕波現象を大きく特徴付ける3次元的な大規模渦構造を再現することに成功した.さらに,微細気泡粒子が水中へ混入することにより,水面変動特性や流れ場中の乱流構造特性が大きく変化することが本数値シミュレーションにより示された.この結果は,砕波シミュレーションにおける気泡効果の取り扱いの重要性を示唆しており,本研究で開発した移動境界追跡型混相乱流計算手法の有用性を示すものである. 次に,数値シミュレーションの検証データを取得するために,砕波等の影響により水域内の鉛直混合プロセスが顕著となる浅海域における現地観測を行うこととした.様々な物理環境データを観測・整理し,乱流混合特性に関して水温や流速データの両面から検討を行った.
|
-
[Publications] Yasuo Nihei & Kazuo Nadaoka: "A Computational Method for Two-phase Flow with Moving Boundary Based on a GAL Model"Coastal Engineering Journal. 41. 327-340 (1999)
-
[Publications] Yasuo Nihei & Kazuo Nadaoka: "Breaking-wave simulation with a new computational method for moving boundary flows based on a GAL model"Proc.of the 4th Int.Conf.on Hydrodynamics. 2. 533-538 (2000)
-
[Publications] 二瓶泰雄,灘岡和夫: "GAL-LESモデルに基づく混相乱流シミュレーション"オーガナイズド混相流フォーラム講演論文集. 4. 61-68 (2000)
-
[Publications] 二瓶泰雄,灘岡和夫,森井順之: "GALモデルに基づく高精度フロント追跡計算手法の開発"土木学会海岸工学論文集. 47. 1001-1005 (2000)
-
[Publications] 二瓶泰雄,青木康哲,矢井秀明 他: "マングローブ水域における流動構造及び熱・物質輸送特性"土木学会海岸工学論文集. 48(投稿予定). (2001)
-
[Publications] 二瓶泰雄,網島康雄,丸田直美 他: "サンゴ礁海域の温熱環境特性に関する多面的観測と解析"土木学会海岸工学論文集. 48(投稿予定). (2001)