1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11750478
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
塚井 誠人 広島大学, 工学部, 助手 (70304409)
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Keywords | 都市の中枢性 / 地域間情報交流量 / 交通と通信の代替性・補完性 |
Research Abstract |
本研究は、情報インフラの急速な成長が、地域間交通需要にどのような影響を及ぼしているかを明らかにするため、企業の地域間の情報交流について、情報交流手段の分担メカニズムを考慮した定量的な分析を試みた。既往の研究のレビューから次の点が明らかとなった。 1)情報交流はその地域に集積している知識や資本といった地域の特性を反映していること 2)通信と交通の代替について考える場合には、情報交流の複雑性を加味しなければならないこと 1)について県単位のマクロな統計指標を用いて、地域の集積の度合いを表わす「中枢性」指標の推定を行った。2)については、交通と通信の2つの手段を介して行われる情報交流全体を同時に扱うことで、情報情報交流の複雑性を考慮したモデルの定式化を行った。提案したモデルを、実際の県間の流動データ(交通:業務旅客順流動調査データ、通信:NTT事務用回線トラフィックデータ)に対して適用して、地域間情報交流量を定量的に評価し、交通と通信の代替性・補完性に関して考察を試みた。 分析の結果、提案したモデルがデータに対してよく適合すること、さらに提案した中枢性指標がモデル上である程度の説明力を持つことが示された。推定されたモデルを用いて、交流コストの低下が交流量に与える影響についてシミュレーションを行った結果、以下の2点の知見が得られた。 1)交通コストの低下は情報交流全体を誘発し、通信料と交通量の双方を増加させること 2)通信コストの低下は情報交流全体を誘発する効果を持たず、通信が交通を代替すること すなわち、通信・交通の実交流量に対して、コスト弾力性は非対称に表れることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)