2000 Fiscal Year Annual Research Report
球形シェル構造の定常振動状態に於ける不安定領域の解明
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11750508
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
諸岡 繁洋 京都大学, 防災研究所, 助手 (80273522)
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Keywords | モード連成作用 / 球形シェル / 逆対称 / 非線形定常振動状態 / 共振曲線 / 不安定 / Duffing型運動方程式 |
Research Abstract |
前年度は、水平方向周期外力を受ける球形シェル構造物が幾何学的非線形性を無視し得なくなる入力加速度強度の簡易算定式の提案を行った。本提案式は、多自由度系の振動性状を一自由度系の振動状態を表す幾何学的非線形方程式の係数のみを用いて判別するものであり、通常数値解析で行われているような多自由度系の幾何学的非線形運動方程式を時間に関して数値積分することなく、幾何学的非線形性を無視し得なくなる入力加速度強度を評価できる式となっている。つまり、n自由度のDuffing型振動方程式がnの3乗個の係数を持つところをn個の係数のみを用いて評価している。ところで、本提案式の検証は数多くの数値解析により行っており、本提案式の理論的根拠は前年度に明らかにすることはできなかった。本年度の目的は、この理論的根拠を明らかにすることにあり、2自由度の幾何学的非線形定常振動解および安定条件式を解析的に求め、モードの連成状態を詳細に調べた。得られた知見は以下のようになる。 (1)自身の固有振動数より小さな加振振動数を受ける当該構造物にはモードの連成はない。 (2)自身の固有振動数を超える外力の振動数を受けると、周期外力の振幅値が小さな範囲で応答が生じ始める。 (3)安定な振動経路は、単一のモードのみを考慮した場合に不安定となる振動数より少し小さな入力振動数において分岐する。この分岐点は、入力振幅値を大きくすればするほど自身の不安定領域が生じ始める周波数より低い値で生じ始めている。 これらは、前年度行った数値解析結果を理論的に実証しているが、定式化の困難さから減衰率を0と仮定した場合の振動性状を示すにとどまっている。減衰率を無視しない定常振動解を数値解析的に検証し、前年度提案した簡易算定式の理論的根拠をより明らかにすることを今後の課題としたい。
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[Publications] 諸岡繁洋: "水平周期外力を受ける球殻の2つの逆対称モード間に生じるモード連成作用"平成12年度京都大学防災研究所共同研究集会「大空間構造に想定し得る被災の要因と対策」論文集. 12K-01. 111-116 (2000)
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[Publications] 諸岡繁洋: "水平周期外力を受ける球殻の2つの逆対称モード間に生じるモード連成作用"日本機械学会第13回計算力学講演会講演論文集. 00-17. 55-56 (2000)