Research Abstract |
本研究は居住者のライフスタイルの見直しにより,どの程度,住宅が与える環境負荷への低減が見込めるかを検討することを目的としており,(1)長野県内の断熱気密住宅を対象としたアンケート調査・実測調査を通じて,住宅のエネルギー消費構造ならびに居住者の意識を把握する,(2)居住者のライフスタイルが環境負荷へどの程度影響を与えるかについて数値計算により検討する,(3)以上の検討結果を踏まえ,ライフスタイルのグレーティングを行い,環境負荷の低減に結びつく住まい方のメニューを提案する,ことを検討事項として挙げる。 本年度は上記検討事項の(1)を実施し,長野県内の断熱気密住宅を対象として,アンケート調査および実測調査を行った。研究代表者は,長野県内の戸建て住宅における環境性能に関する測定を継続的に行っており,既に700棟ほどの住宅データをデータベース化し蓄積している。本年度は,データベース内へ新規データを追加するために,40棟の住宅に対して,アンケート調査ならびに実測調査を実施した。アンケート調査では,住宅の概要,家族の概要,所有設備機器,居住者の在室状況,などについて質問を行い,実態を把握した。また,エネルギー消費量の把握はこれまで申請者が行ってきた方式に従い,領収書などの提示を依頼し把握した。実測調査では,冬期の1週間程度の室内温湿度測定を行った。得られたデータを基にして断熱気密住宅のエネルギー消費構造について,多変量解析などの統計手法を用いて,特に暖房用エネルギー消費量に影響を及ぼす要因を抽出した。その結果,住宅の規模,断熱気密性能の他に,設定室温がエネルギー消費量の大小に寄与していることを確認し,居住者のライフスタイルがエネルギー消費量に影響しているという知見を得た。
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