1999 Fiscal Year Annual Research Report
移動騒音源に対する能動制御システムの効果に関する研究
Project/Area Number |
11750524
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Research Institution | 九州芸術工科大学 |
Principal Investigator |
尾本 章 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 助教授 (00233619)
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Keywords | 能動制御 / 適応アルゴリズム / 道路交通騒音 |
Research Abstract |
本年度は,能動制御技術を自動車騒音など移動騒音源に対して適用する際の基礎的な検討として,適応アルゴリズムの振る舞いを検討する数値シミュレーションを行った.音源信号には,走行中のバイクや自動車の音を録音してコンピュータ内に取り込んだもの,及び無響室内に道路の模型を設置し,その上を走行するミニカーの走行音を録音し,取り込んだものを用いた.コンピュータ内では,取り込んだ音を材料に仮想的なシステムを構築して制御を行った. 制御の方法としてフィードフォワード,フィードバックの2種類を試み,周期的な成分を多く含む場合はフィードバックが,またノイズ成分が多い場合にはフィードフォワードが有効であることを明らかにした.また,用いるアルゴリズムに関しても検討を行った.通常,能動制御に関するシステムでは,LMS系のアルゴリズムが多く用いられる.このアルゴリズムは安定性が高いものの,収束速度が遅いことが知られている.そこでRLSなどの収束速度の速いアルゴリズムの適用を試みた.しかし,移動騒音源などの変動の大きな信号に対しては有効な効果が得られにくく,計算量やロバスト性などを考慮すれば,LMS系を用いるほうが現実的であることが明らかになった.シミュレーションにおいては,これまであまり観測されなかったシステムの発散も頻繁に見られ,実際の移動騒音源に対する適応アルゴリズム適用の困難さが明らかになった.そこで,アルゴリズムの改良を行い,例えばアルゴリズムの収束速度,安定性を決定するパラメータを時変化することで,比較的安定して有効な効果が得られることが明らかになった.次年度は,これまでに得られた知見をもとに実時間実験を行い,移動騒音源に対する能動制御システム適用の可能性についてより現実的な状況で考察を行う予定である.
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