1999 Fiscal Year Annual Research Report
環境移行過程の患者行動をふまえたメンタルケアに寄与する精神病棟共用空間の整備手法
Project/Area Number |
11750538
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阪田 弘一 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30252597)
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Keywords | 精神病院 / 共用空間 / 環境移行 / 患者行動 |
Research Abstract |
本研究では、新病棟の建設、そして旧病棟からの入院患者の移動が実施される大阪市内のA精神病院を対象に、旧病棟および新病棟に移行した後の2時点において精神病棟の共用空間および病室での患者の実態について調査を行う。調査方法は病棟の各フロアにおける1日24時間の患者の行動を30分ごとに観察・記録していくものである。旧病棟に関する調査結果を総合し、患者の行動特性および病棟の空間構成に関する課題として以下の内容が抽出できた。 a)喫煙室:禁煙室はいつも利用者が集まっている。広い喫煙室が必要といえるが、火災の危険も大きくなる。 b)狭い隙間:病室、共用空間を問わず、棚と壁との間など、狭い隙間にはまりこんでいる人、壁や柱によりかかる人が目についた。寝そべったり、座ったり、立ったりする人が入ることのできる一人分の凹み、すなわちアルコープが有効だと考えられるが、監視上、死角となりやすいという問題がある。 c)待合い空間:女子開放病棟ではデイルームの畳の部分と床の部分との間の格差や、廊下に設置されたベンチに座って時間をつぶす人が多くみられた。何かを少し待つような時間に気軽に腰掛けることのできる空間もしくは装置があればよいと考えられる。 d)床座:床に座る人が非常に多い。特に閉鎖病棟で多くみられた。床をカーペットなどの座ってもよい素材にすることが考えられるが、上足と下足の切り替えの必要性、清掃、タバコのポイ捨てによる火災の危険性などが問題となる。 e)病室:ベッドに腰掛けている人が多くみられた。病室に腰掛けて休息できるようなスペースがあればよりよいと思われる。また患者間のコミュニケーションを活発にするという意味では、病室と共用空間の間に小グループが形成できるような談話空間があればいいと思われる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 横田隆司 他 4名: "共用空間における入院患者の日常行動について-精神病院における入院患者の行動特性に関する研究(その1)-"日本建築学会大会学術講演梗概集 (中国). E-I,建築計画I. 47-48 (1999)
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[Publications] 阪田弘一 他 4名: "入院患者の特徴的な行動特性について-精神病院における入院患者の行動特性に関する研究(その2)-"日本建築学会大会学術講演梗概集 (中国). E-I,建築計画I. 49-50 (1999)