1999 Fiscal Year Annual Research Report
16世紀及び17世紀イタリアにおける建築と音楽の変化に関する研究
Project/Area Number |
11750556
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
五十嵐 裕子 横浜国立大学, 工学部, 助手 (40262414)
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Keywords | 空間 / 時間 / サン・マルコ |
Research Abstract |
建築は一般に空間芸術の非再現芸術或いは形式芸術に分類され、通常は絵画や彫刻のように具体的な物を再現することはない為、人間の持つ空間観をあらわに映し出してきた歴史遺産と考えられる。音楽もまた同様に時間芸術の形式芸術に分類され、数多く残された音楽作品にはそれぞれの時代の人々の時間観が映し出されているが、本研究は、同時代の建築と音楽を比較する上で、空間観と時間観の変化の並行性により、建築と音楽の変化に何らかの並行性を見いだそうというものである。 本年度は、建築が音楽に与えた影響について、16世紀後期ヴェネツィアを中心に栄えた分割合唱の実態を調査した。従来分割合唱はサン・マルコの建築的特性から生み出された演奏方法とされていたが、実際には周辺都市のトレヴィーゾ、パドヴァ、ベルガモでも演奏されていた。そこで、実際に現地でそれぞれの都市の建築を調査し、この演奏方法と建築物との関連性について研究を進めた。これについては、2000年9月の日本建築学会大会で発表する予定。 また、17世紀の建築にみられる空間観と音楽にみられる時間観の並行性についてのこれまでの研究成果を「ExMusica」で発表。(2000年6月頃刊行予定) なお、この研究のための渡航費、書籍、演奏を聴くためのCD類、研究に際し必要となった消耗品(文房具類)は本年度の補助金によりまかなった。
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