1999 Fiscal Year Annual Research Report
神仏分離における神社境内の「仏教的建造物」の保存について
Project/Area Number |
11750563
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Research Institution | Osaka Municipal Museum of Art |
Principal Investigator |
坂井 一光 大阪市立博物館, 学芸課, 学芸員 (20291180)
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Keywords | 神仏分離 / 神社建築 / 寺院建築 / 寺社境内図 / 保存 / 摂津国 / 境内 |
Research Abstract |
研究課題について、本年度は摂津(大阪府北部、兵庫県東部)地域の事例について調査・研究し、報告した。 神仏分離の時期に神社境内の「仏教的建造物」が従来と異なる用途に転用された事例について具体的に調べたが、その中で次の4つの分類を行った。それらは(1)神社境内の「仏教的建造物」が転用された事例、(2)寺院から神社に転向した事例、(3)寺院内の鎮守社が神社として独立した事例、(4)廃寺、廃社に伴う移築・転用の事例である。今回の調査・研究では具体例として、(1)では大阪市平野区の杭全神社、島本町の八幡神社、高槻市の上宮天満宮、豊中市の春日神社など、(2)として島本町の西観音寺(椎尾神社)、高槻市の畑山神社など、(3)では尼崎市の久久知妙見社など、(4)では大阪市北区の川崎東照宮、大阪市天王寺区の四天王寺東照宮などの事例を取り上げた。 これらの成果は巡礼研究会(平成11年7月)で口頭発表するとともに、酒井一光「神仏分離における寺社境内の「仏教的建造物」の保存・転用 摂津の事例について」(大阪市立博物館研究紀要第32冊 平成12年3月刊行予定)で報告する。 従来の研究では、全国の代表的な事例について論文や文化財建造物の保存修理工事報告書で紹介されていたが、上記の報告では摂津という一地域での、神仏分離における寺社境内の「仏教的建造物」の保存・転用問題を取り上げた。いままで紹介されていなかった事例を取り上げるとともに、今日の建造物の保存・活用問題にも参考になる点があることを指摘した。
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