1999 Fiscal Year Annual Research Report
耐熱性フェライト鋼クリープ破断の陽電子消滅法による新しい非破壊検査法の開発
Project/Area Number |
11750565
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永井 康介 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (10302209)
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Keywords | 陽電子消滅法 / 耐熱性フェライト鋼 / クリープ破断 |
Research Abstract |
本研究は、陽電子消滅法により耐熱性フェライト鋼のクリープ破断に対する非破壊検査法を開発し、そのメカニズムを明らかにすることを目的としている。本研究の特徴は、内殻電子の運動量分布を測定できる、陽電子消滅同時計数ドップラー広がり法を用いることである。これにより、陽電子が敏感な空孔型欠陥周囲の元素分析を行うことが可能になる。今年度の計画は、(1)現在、研究所にある同時計数ドップラー広がり測定装置の分解能を改良し、(2)その装置を用いて、数種類の耐熱性フェライト鋼の様々なクリープ損傷率の試料の運動量分布を測定することである。(1)に関しては、高性能の増幅器(SEIKO EG&G 572型)を用いることにより高分解能化を達成した。(2)に関しては、3種類の耐熱性フェライト鋼を測定した。その結果、空孔密度がクリープ損傷率によって変化することがわかった。また、その変化はクリープ温度によって異なり、複雑な振る舞いをすることがわかった。また、欠陥周囲の元素分析の結果、銅あるいはニッケル不純物が、欠陥に偏析している傾向が若干現れた。これについて、来年度は陽電子寿命法も組み合わせて、詳細を検討する予定である。 本研究に付随して、改良を行った同時計数ドップラー広がり測定装置を用いて、ポリエチレンとエチレン/ビニルアセテートのブレンドの研究も行った。非極性高分子ポリエチレン中で、数密度でわずか0.1%以下の極微量なアセテート基(極性基)に陽電子が非常に敏感に捕獲されることを見いだした。成果は、既に雑誌に報告されている。
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