1999 Fiscal Year Annual Research Report
高分解能電子顕微鏡観察による魔法数をもつ空孔型欠陥の同定とその挙動解明
Project/Area Number |
11750566
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
湯蓋 邦夫 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (00302208)
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Keywords | 高分解能電子顕微鏡 / 共有結合性材料 / 照射欠陥 / 空孔クラスター / 魔法数 / 陽電子消滅 / 第一原理計算 / 像シミュレーション |
Research Abstract |
グラファイトやシリコンなどの共有結合材料中には、ある特定の数の原子空孔が集まって形成される非常に安定な空孔型欠陥(空孔クラスター)が存在する。これらは、魔法数(magic number)と称されるとともに幾何学的対称性をもつことが特徴である。それら魔法数空孔クラスターの形状を、実空間上で捕らえること-高分解能電子顕微鏡に直視すること-を本研究の目的としている。 電子線および中性子線照射による欠陥(空孔クラスター)が導入されたグラファイト、シリコン等の試料の作製を行った。得られた試料に対してその欠陥の安定性について調べために、様々な熱処理(温度・時間)を施した。 中性子線照射されたグラファイトを中心に電子顕微鏡観察を行った。まず電子回折パターンを詳細に解析した。電子線照射による試料のダメージに注意しながら回折パターンを取得した。照射前と照射後試料では、主要な回折点の強度変化に大きな変化が見出されず、平均構造での大きな変化はないと考えられる。 そこで局所構造を実空間上で直視するために高分解能電子顕微鏡観察を行った。グラファイトに関して、特に[0001]入射で観察した。グラファイト中に完全なV_4、V_6、V_<12>という魔法数空孔クラスターは確認出来ていない。その一方、直径15nm程度の玉ねぎ状のコントラストをもつ構造体が観察されている。B-C-N系において電子線照射によってフラーレン構造体が形成されるように、中性子線照射によって球形のクラスターが形成されたと考えられる。 高分解能像において、バックグラウンドによる不鮮明さがあるため、空孔クラスターの存在が不明瞭である。今後は画像処理などを含めた構造解析を行う予定である。
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