2000 Fiscal Year Annual Research Report
B2型規則相中の拡散の活性化エネルギーと空孔形成・移動エネルギとの相関の解明
Project/Area Number |
11750570
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荒木 秀樹 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20202749)
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Keywords | 陽電子 / 陽電子消滅 / 金属間化合物 / 規則構造 / 拡散 / 空孔 |
Research Abstract |
B2型規則相CoTiは、強度の逆温度依存性を示し、高温構造材料として期待されているにもかかわらず、相内の不純物拡散の活性化エネルギ、空孔形成・移動エネルギはこれまで報告されていない。そこで、本研究では、CoTi相に焦点を絞り、CoTi中のNiの不純物拡散係数を決定し、活性化エネルギQ^D_<Ni>を算出するとともに、CoTi中の空孔形成エンタルピーH^F_V、空孔移動エンタルピーH^M_Vを陽電子消滅法で決定し、それらを比較した。 スポンジチタン(99.88%)と電解コバルト(99.9%)からCo_<53>Ti_<47>および(Co_<51>Ni_2)Ti_<47>をアーク溶解炉を用いて溶製した。Co_<53>Ti_<47>/(Co_<51>Ni_2)Ti_<47>拡散対を作製し、1373〜1478Kにおいて拡散焼鈍を行った。EPMAで拡散プロファイルを測定し、Hallの方法によりNi濃度0における相互拡散係数を決定し、不純物拡散係数とみなした。それらの温度依存性から求めた不純物拡散の活性化エネルギQ^D_<Ni>は、約3eVであった。 一方、Co_<53>Ti_<47>を573から1073Kまでの様々な温度で焼鈍後、各温度から氷水中に焼き入れ、陽電子寿命を測定した。得られた陽電子寿命スペクトルはマトリックスと空孔の二成分で解析でき、各温度における空孔の捕獲速度を求めた。空孔の捕獲速度のアレニウスプロットから、空孔形成エンタルピーH^F_Vは約0.5eVであることが判った。 1323Kから急冷することにより空孔を導入したCo_<50.5>Ti_<49.5>を503〜933Kにおいて等温焼鈍を行い、空孔の回復過程を陽電子寿命法により観測した。その結果、空孔移動エンタルピーH^M_Vは約2.2eVであることが判った。 以上の結果より、拡散の活性化エネルギQ^D_<Ni>は、空孔形成エンタルピーH^F_Vと空孔移動エンタルピーH^M_Vの和にほぼ等しいことが明らかになった。
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