1999 Fiscal Year Annual Research Report
シリコン融液からの単結晶育成時における欠陥の生成・消滅過程
Project/Area Number |
11750573
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石丸 学 九州大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00264086)
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Keywords | シリコン / 結晶成長 / 欠陥形成 / 分子動力学法 |
Research Abstract |
近年、半導体素子の高性能化のために、シリコンウェハの大直径化および高品質化が技術的課題として急務となっている。しかしながら、既存の結晶成長技術は経験に基づいており、今後の新技術展開のためには、融液状態の構造および結晶成長メカニズムに関する情報が必要不可欠である。ここで、シリコンの融点は1400度以上と非常に高く、実験的研究は困難を極めており、結晶成長メカニズムは殆ど解明されていないのが現状である。そこで本研究では、融液からのシリコン単結晶製造における欠陥生成のプロセスを明らかにし、結晶成長条件の最適化を目指すために、分子動力学法を用いて結晶成長の計算機模擬実験を行った。その結果、(1)融液/固相界面近傍では六方晶シリコンがエピタキシャル成長し、この構造の出現が{111}マイクロファセットの原因となること、(2)結晶引き上げ時の再溶解やアニールにより大部分の六方晶シリコンは消滅するが、一部は結晶中に取り込まれ、5員環や7員環から成る欠陥を発生させること、(3)この欠陥の周りでは格子点より原子の数が少ないためアニールにより消滅せず、ボンドスイッチングにより欠陥は結晶シリコン中を移動することが明らかとなった。従来、単空孔が集合することによりサブミクロンオーダーの結晶成長時導入(grown-in)欠陥が形成されると考えられているが、実験的には単空孔の存在は確認されていない。本シミュレーションで得られた欠陥は、この実験結果と矛盾することなくgrown-in欠陥の生成過程を説明出来ると思われる。
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