1999 Fiscal Year Annual Research Report
トンネル磁気抵抗型複合マンガン酸化物セラミックスの研究
Project/Area Number |
11750594
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹本 稔 神奈川工科大学, 工学部, 助手 (70288215)
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Keywords | 複合マンガン酸化物 / セラミックス / 磁気抵抗 |
Research Abstract |
複合マンガン酸化物La_<0.6>Sr_<0.4>MnO_3に非晶質SiO_2を添加し、焼結して作製したセラミックスにおいて、SiO_2の添加が磁気抵抗特性に及ぼす影響を調べた。La_2O_3、SrCO_3、Mn_3O_4を出発原料とし、酸素中1000℃で12時間加熱して上記の複合マンガン酸化物を得た。この複合マンガン酸化物1molに対してSiO_2を0.03〜1mol%添加し、酸素中1500℃で2時間加熱してセラミックスを作製した。走査型電子顕微鏡による観察ではSiO_2無添加試料の粒径は1μm程度であったが、SiO_2を添加すると粒径は15μm程度に肥大化した。また、添加量の増加に伴い、結晶粒が丸みを帯び2次相の形成が確認された。したがって液相の関与する焼結が生じていることが示唆される。EDXによる元素分析ではこの2次相についてはMnのみ観測された。この結果に対応するようにX線回析測定で極微量のMn_3O_4の存在が確認された。無添加、添加試料とも室温で強磁性を示し、強磁性転移温度は添加試料で380K、1mol%添加試料で355Kと添加量の増加に伴い低下した。電気抵抗率は添加により室温で2桁以上も増加した。15kOe(〜1.2×10^6Am^<-1>)の磁場の下での磁気抵抗は、無添加試料で-3.2%、0.03mol%および0.1mol%添加試料ではそれぞれ-5.3%およびー5.7%、1mol%添加試料では-6.9%と、添加量の増加に伴い増加した。またこの磁気抵抗の温度依存性については、無添加試料では強磁性転移温度付近でピークを形成したが、添加試料では測定温度を低下させていくと強磁性転移温度付近で磁気抵抗は急激に増加し始め、温度特性にピークは見られなかった。 以上の結果から、意識的に電気絶縁性不純物を添加することによって複合マンガン酸化物セラミックスの磁気抵抗値を増加させると共に、より優れた温度特性を付与することに成功した。
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Research Products
(1 results)