1999 Fiscal Year Annual Research Report
短繊維強化複合材料の成形過程の屈折率整合法による可視化実験と数値解析
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11750601
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
保田 和則 大阪大学, 大学院・工学研究科・(文部教官)助手 (80239756)
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Keywords | 繊維分散流体 / 濃厚系 / 屈折率整合法 / 繊維配向 / 繊維濃度 / スリット流路 / 急拡大流れ |
Research Abstract |
本研究では、短繊維濃厚系における短繊維の配向状態と繊維濃度の分布状態について調べた。流路には、繊維の配向が大きく変化する急拡大部を有するスリット流路を用いた。このような流路はプラスチック成形の金型によく見られる。 本研究では、屈折率整合法を用いて繊維と分散媒との屈折率を一致させることにより、繊維分散流体を透明化した。さらにトレーサーとして屈折率が高く複屈折を有するビニロン繊維を少量だけ分散させた。これにより偏向板のクロスニコル下において、トレーサー繊維だけを明るく高コントラストで観察することができた。 繊維濃厚系では、急拡大部通過後、繊維の多くは中心線上で急速に流れと垂直方向に配向する。その後下流に流れるに従い、流れ方向にゆっくりと配向する。これは、濃厚系では繊維間の干渉があるために急拡大部直後で流れ方向に垂直に配向しようとする繊維に引きずられて多くの繊維が流れと垂直方向に配向するためと考えられる。しかし希薄系では急拡大部通過後、濃厚系と異なりランダムに配向し、その後急速に流れ方向に配向していく。これは、希薄系では繊維間干渉がなく、急拡大部通過直後、流路厚み方向位置により繊維の回転速度が異なるために、いったんランダム配向するように見えるためと考えられる。 つぎに繊維の流路幅方向の濃度分布について述べる。濃厚系では、急拡大部通過後、流路中心線付近に繊維がもっとも多く、壁面付近にもっとも繊維が少ないことがわかった。いっぽう希薄系では繊維は流路幅方向にわたってほぼフラットな濃度分布を示すが、壁面に近い領域で濃度が急激に上昇することがわかった。
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