1999 Fiscal Year Annual Research Report
PVD多層膜コーティングを有する潤滑特性に優れた塑性加工用工具の開発
Project/Area Number |
11750618
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
青木 孝史朗 横浜国立大学, 工学部, 助手 (70262409)
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Keywords | TiN / CrN / TiAlN / スクラッチ試験 / マイクロビッカース / 表面粗さ |
Research Abstract |
本研究は、アークイオンプレーティング型PVD処理装置による多層膜コーティングを有する工具を作製し、優れたトライボロジー特性を有するPVD多層被膜処理工具の開発を目的としている。本年度は密着強度の高い被膜の生成を目的として研究を行った。 4種類の硬さ(HV215、450、600、730)のSKD11を基材としてTiN、CrN、TiAlNの3種類の被膜を膜厚1〜7μmの間でコーティングを行った。またアーク電流、バイアス電圧等の成膜条件を変化させた場合、TiN、TiAlNを交互に重ねて積層化した場合、中間層としてTiをいれた場合について調査を行った。生成した被覆被膜の密着強度を評価するためスクラッチ試験機を用い、被膜にダメージを与える最小の荷重である臨界荷重を測定した。またマイクロビッカース試験機、蝕針式表面粗さ計により被膜の硬さ、粗さを評価した。加えてスクラッチ試験により決定される臨界荷重を評価するために数値解析によるシミュレーションを行い、スクラッチ試験より得られた結果との比較をし、以下の結果を得た。 1.被膜の膜厚と臨界荷重、基材の硬さと臨界荷重には依存性があり、これは解析結果より基材の塑性変形が影響するものと考えられる。 2.TiNとTiAlNを積層することで若干の臨界荷重の増加が見られたが工具に適用できる程度の臨界荷重には至らなかった。さらなる密着強度を得るためには、より硬いTiCNなどの適用が考えられる。 3.基材と被膜の間にTi中間層を導入することで臨界荷重の上昇が見られた。Ti中間層はコーティングの密着強度を高めるために有効であると考えられる。
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