1999 Fiscal Year Annual Research Report
マグネシウムの耐食性に影響する金属元素および侵入型非金属不純物元素の電子構造計算
Project/Area Number |
11750619
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
古井 光明 富山大学, 工学部, 助手 (90262972)
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Keywords | DV-Xαクラスター法 / マグネシウム / 耐食性 / 侵入型非金属不純物元素 / 電子密度 / イオン性 |
Research Abstract |
Mgに対して包晶および共晶反応を示す金属元素M(45種類)を格子の中心に配したhcpクラスター(M・Mg18)を作成し、分子軌道計算を行って添加元素と母金属Mgとの間の化学結合の様子を調査した。非遷移金属を含むMg合金のエネルギーレベル構造からは、合金元素の3s成分に関係したレベルの高さは、NaからSiへの原子番号の増加に伴って系統的に低下することがわかった。3d遷移金属では、このようなレベルは25a`1レベルが対応しており、周期表に従ってレベルの高さは単調に低下する。合金元素を添加したときの差電子密度分布によると、Mgよりも電子数が多い元素、例えばAl,Zn,Fe,Mnなどを添加すると、その周りに電子密度の高い領域が確認された。ここで、Mgに対して大きな固溶限を持つAl,Znでは、それらとMg原子の間の電子分布はわずかな変化を示すのに対して、Mgにほとんど固溶しないFe,Mnでは、それらとMgの部分状態密度に大きな変化がある。Mgと合金元素の間の電気陰性度の差に基づく電荷移行の度合いを示すパラメーター<ΔΦ>^^^-より、La,Ceなどの希土類元素を添加すると、Mgとの大きな化学結合状態が得られることがわかった。この知見は、Mgの耐食性の向上のみならず、硬さや強度などの機械的性質の向上を目的とした合金設計の指針にもなる。 Mgクラスターの中心に侵入型非金属不純物元素(H,B,C,N,O)を置換した分子軌道計算によって、結合次数,イオン性,電子密度,レベル構造などのパラメーターを得た。その結果、Mgと不純物元素の共有結合の大きさを表す結合次数はBが最も大きく、次いでC,N,O,Hの順になった。差電子密度分布から、BやCのような不純物元素は第一および第二近接Mg原子いずれとも強い結合を形成していることがわかった。また、各不純物元素のイオン性はHが最もイオン結合的であり、次いでO,N,C,Bの順となった。
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