1999 Fiscal Year Annual Research Report
擬生体膜構造を有するリポソーム中に包括されたβ-カロチンの酸化反応機構の解明
Project/Area Number |
11750661
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北川 尚美 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00261503)
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Keywords | 酸化反応 / β-カロチン / リポソーム / 抗酸化剤 / 擬生体膜 |
Research Abstract |
本研究は、食品添加物として注目されているβ-カロチンの酸化防止法としてリポソームによる包括法に注目して、リポソーム内におけるカロチンの酸化反応機構や速度論、ならびにビタミンEやCなどの抗酸化剤をリポソームの脂質相や内部水相に添加した場合におけるカロチンの酸化防止効果を定量的に評価することを目的としている。本年度は、脂質にβ-カロチンを溶解させた卵黄ホスファチジルコリン(PC)を、水相にTris-HC1緩衝液を用いてリポソームを作製し、このリポソーム懸濁液を反応液として種々の条件下で酸化実験を行った。まず、不飽和度の高い(酸化され易い)PCを用いて作製したリポソーム中でカロチン酸化が促進されたことから、PC自身の酸化によって生成する活性の高いラジカルとカロチンとの共酸化促進効果があることが分かった。また、脂質相に添加するビタミンE濃度が高いほどカロチン酸化が抑制されること、水相に添加するビタミンC濃度はある程度高いと酸化を抑制するが、低いと逆に酸化促進効果があることが分かった。さらに、ビタミンEとCを同時に添加した場合、リポソームの脂質相と水相の海面においてビタミンCによるEの再生反応が起こるため、カロチンの酸化紡糸効果が極めて大きくなることも明らかにした。現在これらの実験結果に基づき、リポソーム内でのカロチンの酸化反応機構の詳細な検討を行っている。今後さらに、リポソームの界面で起こるビタミンCによるEの再生反応に着目し、この反応に及ぼす諸因子の影響などの検討により、再生反応機構の解明を試みる予定である。
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