1999 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙環境におけるクローズド分離を目指したバイポーラー膜併用電気透析システムの開発
Project/Area Number |
11750664
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
高橋 博 秋田大学, 工学資源学部, 助手 (70197169)
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Keywords | 電気透析 / アミノ酸 / 有機酸 / イオン交換膜 / バイポーラー膜 / 膜分離 |
Research Abstract |
本研究の目的であるバイポーラー膜併用型の新しい電気透析システムを考える場合,バイポーラー膜及びイオン交換膜を用いることによって形成される水素イオンの濃度勾配をどのように作るかが重要となる。そのためには,分離に大きく影響を与えると考えられるアミノ酸のイオン交換膜による分離特性を把握する必要がある。そこで本年は,本研究における分離対象物質であるアミノ酸およびアミノ酸と同様にpHによりイオンの価数が変化する数種の有機酸について膜透過特性を調べるとともにモデル解析を行い,種々のpHにおける膜透過特性についてシミュレーションを行った。 実験では,はじめにバイポーラー膜を装着しない電気透析装置を用いて,溶液のpHを種々の値に調整して電気透析を行い,酸性,中性,塩基性のアミノ酸および数種類の有機酸の膜透過速度の測定を行った。その結果,アミノ酸,有機酸とも膜透過速度はpHによって大きく影響を受け,適度な条件を設定することによりアミノ酸混合物あるいは有機酸混合物における相互の分離が良好に行えることが明らかになった。これにより,バイポーラー膜を装着して電気化学的にpH勾配を設けると,装置内の室間で分離目的イオン種の濃度分率が異なる可能性が示唆された。 これらの結果を基に,溶液内の解離平衡,電気的中性条件,溶液-膜間のイオン交換平衡さらにはイオン交換膜内の透過速度を考慮に入れたモデルを構築し,モデル解析を行った。解析の結果,実験結果と計算値はほぼ一致し,分離のメカニズムをほぼ把握することができた。 なお現在,次段階としてバイポーラー膜を装着した装置を試作中である。
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