1999 Fiscal Year Annual Research Report
逆ミセル系の高速な相間移動とナノ反応場を利用する効率的超微粒子調製プロセスの開発
Project/Area Number |
11750667
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 博 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (60283743)
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Keywords | 超微粒子 / 逆ミセル / 液液抽出 / 高濃度 / 半導体 / 金属硫化物 / 晶析剥離 |
Research Abstract |
逆ミセルの内水相を反応場として超微粒子を調製する手法は、生成粒子の粒子径の分布が狭いことと、平均粒子径の制御が容易であることを特徴とする。通常、反応物は逆ミセルの内水相に可溶化させて供給されるため、粒子の生産性が反応物の可溶化量に制限されることが実用化に際しての障害となる。そこで、溶媒抽出法を逆ミセル系への高濃度反応物の供給手段として利用することで、これを克服し、逆ミセルの広大な界面積と高速な連続相-内水相間物質移動を活用した効率的な超微粒子調製プロセスの構築を検討した。 本年度は、金属硫化物半導体超微粒子の調製についての検討を行った。まず、粒子調製に最も有利な抽出剤の選定条件を明らかにするため、いくつかの酸性抽出剤とキレート抽出剤を用いて金属イオンを有機相に移動させ、この溶液に界面活性剤を加えて逆ミセル溶液とし、そして硫化物イオンを供給して逆ミセルの内水相における粒子調製を行った。その結果、この方法で超微粒子が調製可能なことと、抽出錯体が高度に安定化されている場合には硫化物イオンと金属イオンの反応が進行せず、粒子が生成しないことを明らかにした。弱酸性の酸性抽出剤が最適であった。そして、抽出条件を最適化して高濃度の金属イオンを供給し、さらに硫化水素を硫化物イオン源とすることで、これまでの一般的な研究の条件の100倍、0.02Mの濃度で安定な硫化カドミウムおよび硫化亜鉛の超微粒子を得ることができた。 さらに、粒子生成機構を定量的・速度論的に解析した。反応物イオンの粒子への転化率と平均粒子径の経時変化を紫外可視吸収スペクトルの変化から追跡した。粒子成長の速度は錯体からの反応物の放出速度で決まること、放出速度が小さい場合には粒子成長が長く続き、生成粒子径が増大することを明らかにした。
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