2000 Fiscal Year Annual Research Report
ハーフメタロセン型チタン錯体触媒によるオレフィンのリビング重合と反応機構解析
Project/Area Number |
11750677
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
野村 琴広 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教授 (20304165)
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Keywords | オレフィン重合 / 均一系錯体触媒 / チタン錯体触媒 / リビング重合 / エチレン / α-オレフィン / 反応機構解析 / 共重合 |
Research Abstract |
本研究の目的はハーフメタロセン型チタン錯体触媒によるオレフィンのリビング重合手法の開発と、錯体触媒による重合機構に関する基礎研究である。より具体的には、非架橋型のシクロペンタジエニル(Cp)-アリロキシチタン錯体触媒をモデル錯体として、リビング重合の可能性や触媒の作用機構に関する基礎研究を行うことを目的としている。 平成12年度の主な研究成果は以下の通りである。 1)ハーフメタロセン型チタン錯体,(C_5Me_5)TiMe_2(O-2,6-^iPr_2C_6H_3),と有機アルミニウム/ホウ素化合物からなる触媒を用いると、低温での1-ヘキセン重合反応がリビング的に進行することを明らかにした。この手法により、従来の報告例よりはるかに高分子量(M_n=1.5×10^6)で、分子量分布の狭い(M_w/M_n=1.3-1.5)ポリマーの合成が可能となった。 2)上記目的の基礎研究として、各種ハーフメタロセン型のチタン錯体触媒を用いるエチレンとα-オレフィンとの共重合を検討したところ、得られる共重合体中のモノマー配列が使用する配位子上の置換基に大きく依存することが明らかになった。この錯体触媒の使用により、効率的にα-オレフィンを取り込む共重合が可能となり、さらにポリマー中のモノマー配列の精密制御に関する貴重な知見が得られた。 3)上記反応機構解析の基礎研究として、各種錯体触媒を用いるスチレンの重合を検討し、特に(1,3-Me_2C_5H_3)TiCl_2(O-2,6-^iPr_2C_6H_3)が高い触媒活性を示し、立体特異的に重合が進行することが明らかになった。また、エチレンとスチレンとの共重合も進行し、従来の錯体触媒では困難であったスチレン含量の高い共重合体の効率的な合成も可能となった。この事実より、この錯体触媒によるエチレンなどのオレフィン重合とスチレンなどとの芳香族ビニルモノマーの重合は同一の触媒活性種で進行していることが示唆され、従来とは異なる貴重な知見が得られた。 4)1)で記載したリビング重合に関し、使用するホウ素化合物の効果を検討し、広範に使用されているものの今回は触媒活性を示さなかったB(C_6F_5)_3とジメチル錯体との反応では低温で錯体の分解反応が進行するのに対し、今回有効であったPh_3CB(C_6F_5)_4ではジメチル錯体との低温反応で効率的にアルキルカチオン錯体が生成していることが示唆された。
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[Publications] 野村琴広: "オレフィン重合に有効なハーフメタロセン型チタン錯体触媒(ニュース解説)"化学と工業. 52・10. 1290-1293 (1999)
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[Publications] 野村琴広: "均一系錯体触媒によるオレフィン重合-ハーフメタロセン型に遷移金属錯体触媒を中心に-"(総説)"触媒. 43・3(掲載予定). (2001)
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[Publications] 野村琴広 他: "Polymerization of 1-hexene, 1-octene catalyzed by Cp TiCl_2 (O-2,6-^iPr_2C_6H_3)-MAO system -Unexpected increase of the catalytic activity for ethylene/1-hexene copolymerization by(1,3-^tBu_2C_5H_3)TiCl_2 (O-2,6-^iPr_2C_6H_3)-MAO catalyst system-"Journal of Molecular Catalysis A : Chemical (Letter). 152. 249-252 (2000)
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[Publications] 野村琴広 他: "Effect of cyclopentadienyl fragment on monomer reactivities and monomer sequence distributons in ethylene/α-olefin copolymerization by nonbridged(cyclopentadienyl)(aryloxy)-titanium(IV)complexes-MAO catalyst systems"Macromolecules. 33. 3187-3189 (2000)
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[Publications] 野村琴広 他: "Ligand effect in olefin polymerization catalyzed by(cyclopentadienyl)(aryloxy)titanium(IV)complexes, Cp TiCl_2 (OAr),-MAO system.-Copolymerization by(1,3-^tBu_2C_5H_3)TiCl_2(O-2,6-^iPr_2C_6H_3)-MAO catalyst system-"Journal of Molecular Catalysis A : Chemical. 159. 127-137 (2000)
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[Publications] 野村琴広 他: "Syndiospecific styrene polymerization and efficient ethylene/styrene copolymerization catalyzed by(cyclopentadienyl)(aryloxy)titanium(IV)complexes-MAO system"Macromolecules. 33. 8122-8124 (2000)
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[Publications] 野村琴広 他: "Effect of cocatalyst in 1-hexene Polymerization by Cp^*TiMe_2(O-2,6-^iPr_2C_6H_3)complex"Journal of Molecular Catalysis A : Chemical. 164. 131-135 (2000)
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[Publications] 野村琴広 他: "Ethylene/α-olefin copolymerization by various nonbridged(cyclopentadienyl)(aryloxy)-titanium(IV)complexes-MAO catalyst system"Journal of Molecular Catalysis A : Chemical. (accepted).
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[Publications] 野村琴広 他: "オレフィン重合に高い触媒活性を示す新規チタン錯体触媒の創製-触媒活性への配位子効果と助触媒の効果-"触媒. 42・6. 436-438 (2000)
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[Publications] 野村琴広: "重合触媒開発・技術の今日的発展と新世代ポリマーの創製,寺野稔(編)"ハーフメタロセンなどの第4族遷移金属錯体触媒によるオレフィン重合(著書分担)(出版予定). (2001)