1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11750684
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山本 進二郎 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (40262307)
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Keywords | 軟骨細胞 / バイオマトリクス / 三次元培養 / コラーゲン / フェノタイプ |
Research Abstract |
関節軟骨は、運動によって生じる衝撃に常にさらされている組織で、一旦損傷すると生体内で再生が難しい。軟骨組織を補うために生体適合性の代替ポリマーや物理的に損傷部を補う技術の開発が行われているが、免疫反応の危険性を考えると、自家移植することが安全な技術であり、生体内の組織を一部取り出して必要量の軟骨組織を生体外で再生させる技術の開発が期待されている。 軟骨細胞が組織を形成するためには、コラーゲンやアグリカンコアタンパク質の発現型(フェノタイプ)が大きく関与する。生体内の軟骨細胞はコラーゲンのII型のみを発現するが、組織から分離した細胞を従来の空気存在下で継代培養すると、コラーゲンタイプのII型からI型への変化やアグリカンコアタンパク質の発現の消滅、などフェノタイプの急速な消失が知られている。関節軟骨への栄養や酸素は関節液から供給され、その酸素分圧は7.6〜53mmHgであることから、軟骨細胞のフェノタイプの発現には酸素分圧が大きな因子として働くと考えられる。ゲルで包括固定した軟骨細胞は、フェノタイプの再発現に有効なことが知られているが、ゲル内での酸素の供給律速がその要因と考えられる。 本年度では 細胞を多量に準備するために必要な情報である継代培養に伴う細胞の増殖特性を検討するとともに、酸素分圧を制御できる実験装置を用いて細胞の増殖とコラーゲン代謝におよぼす溶存酸素分圧の影響を検討した。その結果、継代培養に伴う比増殖速度の変化は観察されなかったが、誘導期の短縮・消滅が認められた。また、低酸素分圧下の軟骨細胞の培養ではII型コラーゲンが再発現し、酸素分圧がフェノタイプに大きく関与することが示唆された。
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