1999 Fiscal Year Annual Research Report
再生可能な肝不全ラットモデルを用いた人工肝補助システムの効果的な適用条件の探索
Project/Area Number |
11750694
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井嶋 博之 九州大学, 工学研究科, 助教授 (10274515)
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Keywords | 人工肝補助システム / 肝不全ラット / 肝再生 / 肝細胞増殖因子 / 体外循環 / 温虚血肝不全 / 部分肝切除 / 長期適用 |
Research Abstract |
・肝再生誘導による救命が可能な重篤な肝不全ラットモデルの作出 吸入麻酔下で通常の70%部分肝切除術後,門脈・肝動脈を一定時間結紮した。その結果,門脈・肝動脈の結紮時間のみを操作することでラットの生存率を20から80%の間で任意に操作できる肝不全ラットモデルの作出に成功した。また,部分肝切除術のみ施したラットは全例回復した。 生存率が100%である部分肝切除モデルおよび生存率が38%である50分温虚血負荷部分肝切除モデルにおいて手術後0,6および24時間目に肝臓を摘出し,組織切片を作製し,ヘマトキシリン・エオジン染色にて評価した。手術直後の50分温虚血負荷部分肝切除モデルではうっ血をはじめとする障害が確認されたが,回復に向かうラットでは両モデルとも組織学的評価により6および24時間目共に良好な肝再生が確認できた。 以上より,臨床と同様に人工肝臓による十分な肝機能補助が行えれば患者自身の肝再生による救命が可能な肝不全ラットモデルの作出に成功した。 ・長期間適用可能な体外循環回路の開発 長時間にわたる麻酔下での体外循環は実験動物に対し,重篤な負荷を与え,結果に大きく影響する。本研究では頸動・静脈に接続した体外循環ラインを皮下を通して首の背後から外部に引きだし,ラットは自由な給水・食餌が可能な保定器に入れることで,長期間の人工肝臓適用が可能な体外循環回路を開発した。これにより,麻酔を一切かけない状態でも3時間以上の連続した体外循環による人工肝臓適用が可能となった。また,体外循環停止時も体外循環ラインを留置したままラットは自由な給水や食餌が可能であるため,長期間にわたる断続的な人工肝臓の適用が可能であることが示された。
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Research Products
(1 results)