1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11750712
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
笛野 博之 京都大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30212179)
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Keywords | 大気化学 / 分子軌道法 / オゾン / 一酸化二窒素 / 炭素クラスター |
Research Abstract |
本年度は、大気中でのN_2Oの生成反応についてとりあげた。N_2Oは対流圏での温室効果とともに、成層圏におけるNOとNO_2の生成源としてオゾン層破壊に対して重要な役割を果たしている。N_2Oは主に微生物により供給されるが、新たな生成源について興味が持たれている。そこで、オゾン(O_3)とN_2によるN_2Oの生成反応についてab initio分子軌道法により検討した。 1重項状態において、数種の反応経路について検討した。QCISD/6-311G^*法によると、遷移状態は、O_3の基盤状態(^1A_1)とN_2との反応物からの相対エネルギー値が57.0kcal/molである物が一番低く、O_3(^1B_1)からO_2(^1Δ_g)を生成する経路の遷移状態であった。O_3(^1B_1)からの活性化エネルギーは20.4kcal/molである。また、遷移状態のエネルギー準位に近い中間体が存在した。 加えて、星間分子であるC_3クラスターの1重項、3重項、負イオンの励起状態を含む数種の電子状態のポテンシャル面を求め、直鎖構造と環状構造との異性化反応を論じた。conical intersectionを考慮すると新たな遷移状態が求められた。また、直鎖の^1Π_U状態では非対称伸縮振動方向にエネルギーが下がり、非対称安定構造から対称構造への活性化エネルギーは実験で示唆されている値と良い一致が見られた。
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