2000 Fiscal Year Annual Research Report
フォトアシスト電析法によるアルカリ性水溶液からのCdTe半導体薄膜の作製
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11750713
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
邑瀬 邦明 京都大学, 工学研究科, 助手 (30283633)
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Keywords | 光アシスト効果 / テルル化カドミウム / 化合物半導体 / 化合物電析 / 半導体薄膜 / 太陽電池 / 光触媒 / 組成制御 |
Research Abstract |
太陽電池材料として期待されているCdTeの低コスト製膜技術として電析法を研究してきた。ここでは、Te(IV)種の溶解度が低い硫酸酸性浴にかわるCdTe電析浴としてアンモニア-アルカリ性浴を用い、電析時にカソード表面に可視光を照射することにり、電析電流が増大し、電流効率も向上する現象を調べている。本年度は光アシスト電析の際の電解電位がCdTe薄膜の組成およびモルフォロジーにおよぼす影響について研究した。電解浴はpH10.7のアンモニア-アルカリ性緩衝液に10mM TeO_2および60mM CdSO_4を溶解させ調製した。カソード基板には金めつき銅板を用いた。電解はすべて温度70℃で行った。光照射の光源には500Wキセノンランプを用いた。薄膜の同定はXRD、表面観察はSEM、元素分析はEPMAにより行った。 カソード分極曲線において、光に対する応答は電位-0.30V vs SHEより卑な電位で見られたことから、光応答は析出したCdTe膜によるものであると考えられる。照射光波長に対する応答の依存性も、光アシスト現象が電析したCdTe薄膜による光触媒反応であることを示唆した。通電電気量を1.5Cとし、様々な電位で定電位電解を行ったところ、-0.74〜-0.25Vの広い電位領域で、化学量論組成に近いCdTe薄膜が得られた。いずれの電位でも、電析物中のCd含有量は光非照射下で得られたものに比べてわずかに増大し、その結果、電位-0.74〜-0.70VではCd-richの析出物となった。このCd-rich薄膜は微量の単体Cdの共析により粒状あるいは珊瑚状の表面形態となった。Cd析出の理論電位-0.732Vより高い-0.70Vにおいても単体Cdの析出が起こるのは一種の光誘起アンダーポテンシャル作用と思われる。 光照射・非照射にかかわらず、化学量論組成のCdTeが析出する条件での電析電流は時間とともに徐々に低下した。光照射によって電解電流は20倍以上増大しており、その結果、電解時間は大幅に短縮された。
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[Publications] Kuniaki Murase et al.: "Electrodeposition of CdTe from Basic Aqueoas Solution Containing Ethylenediamine"Journal of the Electrochemical Society. 148巻3号(印刷中). (2001)
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[Publications] Kuniaki Murase et al.: "Morphology of CdTe Electrodeposited from Ammoniacal Basic Aqueous Solutions"Proceeding of the 1st International Symposium on Morphalogy Evolution of Electrodeposits. (印刷中). (2001)