1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11750721
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Research Institution | Kanagawa Academy of Science and Technology |
Principal Investigator |
佐藤 治 財団法人 神奈川科学技術アカデミー, 光科学重点研究室・第一研究グループ, 研究員 (80270693)
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Keywords | コロイド結晶 / 相転移 / 光応答性 / マラカイトグリーン |
Research Abstract |
電荷をもつ単分散の微粒子は、水あるいは有機溶媒などで自己集合化し周期的な構造を形成する。微粒子間の距離がちょうど可視光と同じくらいの寸法の時、可視光のある波長領域の光が回折し色が生じる。DLVO、あるいはIseポテンシャルからコロイド粒子間相互作用はイオン濃度に依存することが分かる。また、イオン濃度が増加することによって粒子間相互作用が弱まり、ある臨界濃度を超えるとコロイド結晶がメルティングすることが導きだせる。これらの理論にもとづき、本研究ではコロイド結晶形成に影響する要因を光で変調し、コロイド結晶構造を制御することを試みた。101nmのSiO_2単分散粒子をマラカイトグリーンのエタノールに分散しコロイド結晶を形成した。このコロイド結晶の90°の反射スペクトルを測定したところ450nmに強い反射ピークが観察された。これは、光がコロイド結晶で回折されるために現れるピークである。この状態で、マラカイトグリーンの吸収に対応する300nmの光を当てると、この回折ピーク強度が減少し、最終的に消えてしまうのが観測された。これは、紫外光照射を行うことにより、マラカイトグリーンがイオン化し、その結果微粒子間の相互作用が減少し、構造が結晶状態からアモルファス状態に転移したためであると考えられる。さらに、光照射を止めると反射ピークの強度が時間と共に増大し、コロイド結晶が再形成することが分かった。この時、反射ピークの位置は元の位置より長波長側に移動していた(463nm)。このピークの位置より、再結晶後のコロイド結晶の格子間距離は142nmであることが分かる。さらに、この結晶状態は準安定状態であり、冷暗所でもとの状態にもどることが分かった。すなわち、光でコロイド結晶の相転移を制御し、回折波長をスイッチすることができたといえる。
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