1999 Fiscal Year Annual Research Report
インターカレーションによる層状バナジウム・リン酸化物のミクロ構造修飾と触媒機能
Project/Area Number |
11750722
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
中戸 晃之 東京農工大学, 農学部, 助教授 (10237315)
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Keywords | インターカレーション / 層状バナジウム・リン酸化物 / 層剥離 / 触媒前駆体 / ブチルアニリン / アルキルアミン |
Research Abstract |
層状バナジウム・リン酸化物VOPO_4・2H_2Oの層間反応を利用する積層秩序修飾の基礎的検討として、VOPO_4・2H_2Oへの種々の有機分子のインターカレーションと得られた層間化合物の剥離挙動とを調べた。研究代表者らは最近、VOPO_4・2H_2O-4-ブチルアニリン層間化合物を合成し、その層剥離に成功している。本研究ではまず、4-ブチルアニリンと他の有機分子との、VOPO_4・2H_2Oに対する反応性の比較を行った。4-ブチルアニリンの場合、短時間の反応では層間化合物を形成するが、反応時間を長くすると層構造が破壊されることがわかった。より塩基性の強いアルキルアミンとの反応では、VOPO_4・2H_2Oの層構造が破壊され、層間化合物は得られなかった。一方、4-ブチルアニリンより塩基性の弱いアニリンは、VOPO_4・2H_2Oとの反応性が低く、安定に層間化合物を形成した。より極性の低いエタノールでは、VOPO_4・2H_2Oとの反応は進行しなかった。これらより、VOPO_4・2H_2Oの層間化合物形成にはインターカレートさせる有機分子の塩基性が重要で、ある程度の塩基性をもつ分子でないとインターカレートしないが、塩基性が強すぎると層構造が破壊されることがわかった。合成したVOPO_4-4-ブチルアニリン層間化合物の剥離-再構成を検討した結果、THFなどの極性溶媒中で剥離が起こり、かつ溶媒を除去すると層間化合物が再構成させることがわかった。再構成試料の積層秩序は溶媒除去条件の影響を強く受けた。また4-ブチルアニリンは、VOPO_4層との結合が強く、剥離-再構成時に層間から除去されなかった。今後は、剥離の際に層間から有機分子を除去できる層間化合物の合成と、剥離-再構成条件の最適化による積層秩序の制御とをめざす。
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[Publications] T.Nakato, Y.Furumi, N.Terao, and T.Okuhara: "Reaction of Layered Vanadium Phosphorus Oxides, VOPO_4・2H_2O and VOHPO_4・0.5H_2O, with Amines and Formation of Exfoliative Intercalation Compounds"Journal of Materials Chemistry. 10(印刷中). (2000)