インターカレーションによる層状バナジウム・リン酸化物のミクロ構造修飾と触媒機能

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 11750722
• Research Institution: Tokyo University of Agriculture and Technology
• Principal Investigator: 中戸 晃之 東京農工大学, 農学部, 助教授 (10237315)
• Keywords: インターカレーション / 層状バナジウム・リン酸化物 / 層剥離・再構築 / ブチルアニリン / アクリルアミド / 触媒前駆体 / 酸化触媒

Research Abstract

昨年度、VOPO_4・2H_2Oへの4-ブチルアニリンのインターカレーションと、得られた層間化合物の剥離・再構築に成功した。本年度は、得られた再構築体から調製した新規触媒によるn-ブタン選択酸化と、VOPO_4・2H_2Oへのアクリルアミドのインターカレーションを利用する層剥離とを検討した。前者の検討では、VOPO_4-4-ブチルアニリン層間化合物をTHF中で剥離させ、剥離層溶液をSiO_2微粒子に含浸させた後還元することによって、新規な剥離層担持触媒を調製した。この触媒によるn-ブタンから無水マレイン酸への選択酸化を調べたところ、従来法で調製したVP酸化物触媒と比べて極めて高いn-ブタン酸化活性が得られ、剥離による表面積増大の効果と考えられた。しかし無水マレイン酸への選択性は低く、その理由は、VOPO_4層と4-ブチルアニリンとの相互作用が強すぎ、触媒調製時に有機成分が完全に脱離せず還元が不十分になったためと考えられた。そこで次に、VOPO_4層との相互作用がより弱いと予想されるアクリルアミドのインターカレーションによる剥離を検討した。その結果、層間構造の異なる2種類のVOPO_4-アクリルアミド層間化合物の合成に成功した。また、これらの層間化合物が1-および2-ブタノール中で層剥離を起こすことを確認した。さらに、剥離・再構築によって層間化合物がより表面を露出した粒子形態へと変化すること、ならびに再構築体の形態と従来法による触媒の粒子形態とが類似していることを見出した。これらの結果は、未だ不明な点が多いVP酸化物触媒の生成機構にも重要な示唆を与えると考えられる。層間化合物の剥離溶媒として用いたブタノールは従来法による触媒調製の際の還元剤として利用されているもので、今後は剥離層溶液中のVOPO_4層のその場還元により、新規触媒の調製に結びつけたい。

Research Products

• [Publications] N.Hiyoshi, N.Yamamoto, N.Terao, T.Nakato, and T.Okuhara: "Selective oxidation of n-butane over novel V-P-O/silica composites prepared through intercalation and exfoliation of layered precursor"Studies in Surface Science and Catalysis. 130. 1715-1720 (2000)
• [Publications] T.Nakato, Y.Furumi, and T.Okuhara: "Reaction of layered vanadium phosphorus oxides, VOPO_4.2H_2O and VOHPO_4・0.5H_2O, with amines and formation of exfoliative intercalation compounds"Journal of Materials Chemistry. 10. 737-744 (2000)