1999 Fiscal Year Annual Research Report
高分子錯体から合成したマンガン酸リチウムの電気化学的特性
Project/Area Number |
11750725
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
荻原 隆 福井大学, 工学部, 助教授 (60214045)
|
Keywords | マンガン酸リチウム / 錯体 / 層状化合物 / リチウム2次電池 / インターカレーション / 自己燃焼反応 |
Research Abstract |
金属イオン(LiおよびMn)をカルボン酸イオンでキレート錯体を形成させ,エチレングリコールを用いてエステル縮合を行い,金属イオンが分子レベルで高分散したポリマーを合成した.ポリマーの生成過程をIRスペクトルにより検討した結果,このポリマーは160℃以上の温度で生成することが見い出された.この前駆体は多量の水と有機物を含んでおり,カルボン酸は金属イオンとかなり強く結合していることもわかった.このポリマーを高温で熱分解すると,含まれるカルボン酸の自己燃焼反応により低温でLiMnO_2が生成した.この化合物の充放電特性を検討した結果,充放電容量は約160mAh/gであった.その際,充放電容量は結晶性に大きく影響を受けることが見い出された.この化合物の充放電曲線には3Vおよび4V領域のプラトーが見られ,それぞれの領域で充放電中に結晶構造が変化していることが見い出された.サイクリックボルタンメトリーによるCV曲線から,3V領域での充放電はスピネル構造に起因していることがわかった.即ち,リチウムイオンのデインターカレーションにより,徐々に,結晶からリチウムイオンが不足し,その構造の一部にスピネル相が生成したことを示唆している. そこで,放電中の構造安定化を目指して,この化合物にln,Y,Alなどの元素をドープし,置換量が結晶構造にどのような影響を及ぼすか検討した.その結果,各元素とも3mol%まで固溶したが,それ以上の濃度では、固溶せず均一な化合物を得ることができなかった.そこで,1mol%および3mol%添加試料について,充放電特性を検討した.その結果,元素置換により,充放電容量およびサイクル特性は無添加の試料と比較して,向上することがわかった.特に,lnは充放電容量が180mAh/gまで向上し,その効果が最も顕著であった.
|