1999 Fiscal Year Annual Research Report
複数の固相反応を利用したアルミナセラミックスの低温焼結と微構造制御
Project/Area Number |
11750726
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
樽田 誠一 信州大学, 工学部, 助教授 (00217209)
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Keywords | アルミナ / マグネシア / チタニア / 焼結 / 固相反応 / 固溶 / 粒成長 / 微構造 |
Research Abstract |
本研究では、焼結体の機械的性質を落とさずに、市販されている普通のアルミナ粉体をより低温で焼結させることを目的として、マグネシアとチタニアの両者をアルミナに添加して焼結挙動を検討した。マグネシアとチタニアの添加量に関しては、マグネシアとチタニアをモル比で1:1として、総添加量を2,5,10,15,20mass%とした。マグネシアとチタニアを添加したアルミナ混合粉体は1450℃で緻密化し、無添加よりも焼結温度が150℃程低下した。アルミナの緻密化速度は1150℃付近でチタニアが固溶すると速くなるが、同時にスピネルが生成しているとチタニアのみ添加の試料よりも速くなった。これは、アルミナとマグネシアが反応してスピネルを生成する際にチタニアがアルミナに固溶する速度が速くなった、あるいは低温で生成していたチタン酸マグネシウムがアルミナと反応してスピネルを生成する際にチタニアが固溶しやすくなったためと考えられた。また、生成したスピネルはチタン酸アルミニウムの生成温度を低下させ、そのチタン酸アルミニウムの生成によって緻密化速度は遅くなった。添加量が2%および5%では粗粒と微粒からなる、いわゆる"duplex structure"となった。チタニア添加量が0.6mass%以上では異常粒成長が生ずることが知られている。本研究のチタニアの添加量は0.6mass%以上であったので、異常粒成長が生じてduplex structureになったと考えられた。また、生成したスピネルは粒成長の抑制効果を期待されたが、その効果を示さなかった。逆に、粒成長が促進した。これは、初期焼結の緻密化速度は速かったが、中期焼結の緻密化速度が遅かったために、焼結中期段階で粒成長が進行したと考えられる。他方、添加量の多い10%および15%ではスピネルとチタン酸アルミニウムが粒成長を抑制して均一で微細な構造になった。
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