1999 Fiscal Year Annual Research Report
低環境負荷型ビーライトセメントの再融反応による高機能化に関する研究
Project/Area Number |
11750727
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
福田 功一郎 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (90189944)
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Keywords | ビーライトセメント / 再融反応 / ケイ酸塩鉱物 / 高水和活性 / 易粉砕性 / 環境問題 / リサイクル / 二酸化炭素 |
Research Abstract |
再融ビーライト離溶液の初期水和促進機構の解明を目的とし,以下の実験を行った. 試薬およびビーライトクリンカーを原料とし,1400℃(ビーライトのa相安定温度)から1250℃(a'相安定温度)まで2℃/minで徐冷し,再融ビーライト試料を準備した.試料表面を鏡面研磨・エッチングした後,反射顕微鏡法で微細組織を,EPMAによるMapping法(50μm×50μmの領域を1000×1000pixelsに分割)で化学組織分布を,顕微ラマン分光法(測定範囲180-1180cm^<-1>)で微小領域の構成相および状態を調べた.波長514.5nmのArレーザーを用い,15mWと40mWの両方のレーザー強度で測定した.高強度のレーザーを照射することで,フェライト相は加熱されて融解する. 再融ビーライトのMapping結果から,全ての酸化物(Na_2O,K_2O,Al_2O_3,とFe_2O_3)濃度において,ビーライトマトリックスよりも離溶液の方が高く,前者では約Na_2O=0.1,K_2O=0.1,Al_2O_3=1,Fe_2O_3=1wt%に対し,後者では約Na_2O=1.7,K_2O=0.5,Al_2O_3=22,Fe_2O_3=8wt%であった.顕微分光法によって,微細なクリンカー構成相のラマンスペクトルを個別に得ることができた.これらを比較することで,離溶液のスペクトルは融解したフェライト相のスペクトルに酷似していることが明らかになった.以上の結果から,離溶液はガラス状態で存在しており,水と容易に反応してアルカリ成分が直ちに溶出することで,再融ビーライト全体の水和が活性化されると考えられる.
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