1999 Fiscal Year Annual Research Report
イオン交換可能な層状金属酸化物電極の電気化学的手法による作製と評価
Project/Area Number |
11750729
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
鯉沼 陸央 熊本大学, 工学部, 講師 (70284742)
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Keywords | 電気泳動 / 層状薄膜 / インターカレーション / 半導体 / チタン酸 / ニオブ酸 |
Research Abstract |
層状無機酸化物の一つであるチタン酸セシウム(Cs_XTi_<2-X/4>□_<X/4>O_4)とニオブ酸カリウム(K_4Nb_6O_<17>)を電気泳動法によって、導電性基板上に固定し、その構造と電気化学的特性を評価した。チタン酸セシウムやニオブ酸カリウムの粉体を種々の有機溶媒中で懸濁し、その懸濁溶液中に2枚の導電性基板を挿入し、その間に数10Vの電圧を印加すると数μメートルの厚さの層状薄膜を作製することができた。膜圧は電解時間によって容易に制御できることが分かった。また、基板上に析出した膜は、層毎に基板表面に析出し、非常に高い配向性を持つことが分かった。 電気泳動により作製したチタン酸セシウム薄膜をアルカリ性水溶液中で陰分極すると層間でのセシウムイオンとアルカリ金属イオンとの交換が起こった。その結果、層間が拡がることが分かった。また、アミノ基を末端に持つ有機分子は層間に2重層の状態でインターカレートし、層間が極端に拡がった。有機分子がインターカレートした薄膜は、層間への金属イオンの取り込みがより起こりやすくなることが分かった。 ニオブ酸カリウムを電気泳動によって基板表面に固定した薄膜は、電解質溶液中でアノード光電流が観察できたことから、n型半導体であることが分かった。光電流の波長依存性は、紫外可視分光法の波長依存性とほぼ同じであり、膜内での光吸収が光電流として出現することが分かった。層間に金属イオンをインターカレートすると光吸収がより高波長(低エネルギー)で起こるようになり、可視光を利用できる半導体薄膜の創製の可能性が示唆された。
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